「『人体の不思議展』のふしぎ」(『週刊金曜日』)

○○展つながり・・・というわけではありませんが、『週刊金曜日』が「人体の不思議展」(「新・人体の不思議展」)にまつわる疑惑をとりあげた一連の記事をはてなダイアリーで公開しています(「『人体の不思議展』のふしぎ」)。ご存知の方もおられると思いますが、「人体の不思議展」で展示されているプラスティネーション標本(といってももともとは人間です、当たり前ですが)の出所、“標本”作製の経緯等に不透明なところがあるのではないか、また死者の商品化に倫理的な問題はないか・・・という疑惑の追及です。
読んだのがかなり前のことなのでハッキリした記憶はないのですが、大塚英志原作のコミック『黒鷺死体宅配便』中の一エピソードはこの疑惑に題材をとったものではなかったかと思います。731部隊関係者の末裔が経営する「布草蘇芸生物保存実験工場」なるものが登場するのですが(Wikipediaによる)、「蘇芸生物保存」というのはプラスティネーションの中国語訳のようです(主催者の弁明によると標本は「南京蘇芸生物保存実験工場から借りたもの」とのこと)。管見するかぎりでは“標本”を作製することそれ自体を目的とした殺人が起きているということではないようですから、直ちに同列に並べて語ることはできないものの、報道が(少なくとも大筋において)正しいならば一方で中国側には多数の“標本”を手続きが不透明なままに作成、“輸出”することを可能にする人権状況があり、他方で日本側がその不透明さに目をつむることで共犯者となる、という構図があることになります。