その論法はブーメラン

先日NHK生活人新書の『日本人はなぜ謝りつづけるのか』をとりあげたエントリのコメント欄で自信満々に「とっくに直っている」と宣言したものの、実はまだ書名を間違えたまま*1猫猫先生当該エントリでは書名が「バカ新書」みたいで「ちょっとかわいそうである」としていたのに、Amazon.co.jpではさっそく否定的なレビューを書いている。そのうち「植民地」問題の記述についてはすでに反論のレビューもつき、また当ブログのコメント欄でもほにゃさんが指摘されているのでここでは詳細には触れない。しかし目次をみるだけでもイギリスの植民地主義をめぐる問題が扱われていることは見当がつきそうなのに、不思議なはなしではある。一例だけあげれば、第5章では日本に謝罪と補償を求めるある元捕虜に読売新聞の記者が「植民地支配に謝罪しないのかという疑問をぶつけ」たこと、それに対する返答とが紹介されている。さて、ここで問題にしたいのは次のような論法。

帝国主義の本家本元の英国人になぜ謝罪しなければならないのか、というのが多くの日本人の本心であろう。
(http://qrl.jp/?310873)

このような思いを(左派も含めた)多くの日本人が持っているというのは確かであろうし、イギリス人が日本の植民地支配や「侵略」戦争の責任を問うているのであれば、このような反論にもそれなりの理はあろう。しかし問題は、現在イギリス人の元捕虜、元抑留者が問うているのは捕虜や抑留者に対する虐待であったり強制労働の未払い賃金問題である、ということだ。植民地支配に加担した人間なんだから何をされても文句を言うな・・・ということになれば、旧満州朝鮮半島、台湾などにいた日本人についても「何をされても文句は言えない」ということになってしまい、シベリア抑留に代表される旧連合国側の戦争犯罪、国家犯罪の被害も甘受せねばならなくなるはずだが・・・。

*1:そのご無事訂正されました。