『最後の皇軍兵士』


『日本帝国陸軍と精神障害兵士』でもとりあげられていたルポ(1985年)。国立下総療養所で療養生活を送っていた頭部戦傷兵士、精神障害兵士に光を当てたもの。帯の紹介文(序章の一文を少し改変したもの)を引用しておきます(脱字を訂正)。

太平洋戦争で精神に異常をきたし、あるいは頭部傷病をえた兵士の病棟がある。引き取り手はなく、社会復帰もかなわない。戦後40年間、家族や社会から見すてられ、ひっそりと空白の時を過ごしてきた人々。カギのかかったドアに隔てられ、病室を「終の栖」として迫り来る死だけを待っている。いまこの病棟に残照薄き戦傷者、すなわち最後の皇軍兵士は戦いのない闘いをつづけている……。

「虜囚の記憶を贈る」第5回

こちらで紹介した野田正彰の連載の第5回。8月号、9月号と連載され10月号を立ち読みしたら載っていなかったので、「たった2回?」とおもってそれ以降確認するのを怠っていたら(論壇誌はあまりよまないもんで…)11月号から連載が再開されていた。
さて、第5回からは花岡事件で中国人「労工」たちの叛乱を指揮した耿諄(コウジュン)さんからの聞き取り。実はこの聞き取りについては以前に講演会で野田氏のはなしを聞いたことがあり、『「慰安婦」問題とは何だったのか』についてのエントリを書いた際に念頭においていたことの一つなのだが、論文等では未発表の聞き取りのようだったので言及するのを控えていた。連載が一段落ついた時点で改めてとりあげます。