『最後の皇軍兵士』


『日本帝国陸軍と精神障害兵士』でもとりあげられていたルポ(1985年)。国立下総療養所で療養生活を送っていた頭部戦傷兵士、精神障害兵士に光を当てたもの。帯の紹介文(序章の一文を少し改変したもの)を引用しておきます(脱字を訂正)。

太平洋戦争で精神に異常をきたし、あるいは頭部傷病をえた兵士の病棟がある。引き取り手はなく、社会復帰もかなわない。戦後40年間、家族や社会から見すてられ、ひっそりと空白の時を過ごしてきた人々。カギのかかったドアに隔てられ、病室を「終の栖」として迫り来る死だけを待っている。いまこの病棟に残照薄き戦傷者、すなわち最後の皇軍兵士は戦いのない闘いをつづけている……。