「兵士たちの悪夢」ほか
今日の午後7時から NHK BShi でハイビジョン特集「兵士たちの悪夢」が放映されます。
イラク帰還兵に広がるPTSD(心的外傷後ストレス障害)。兵士の心に何が起きているのか。第一次大戦以降の「軍事心理学」の研究史をひもときながら、その闇に迫る。
(http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=202&date=2008-08-31&ch=10&eid=24014)
番組を見たらまた感想を追記するつもりですが、これに関連して先日興味深い記事を見かけました。
WIRED VISION 「地球の裏側から無人航空機でミサイルを発射する」兵士たちのストレス
それでも、戦争と平和を絶え間なく行き来すれば、ほかとは異なる精神的な負担がのしかかる。「いつミサイルを発射してもおかしくない状況から、次には子どものサッカーの試合に行く。まったく懸け離れている」と、Michael Lenahan中佐はため息をつく。
戦闘機に乗っている場合には、「時速約800〜1000キロで近づき、重さ220キロ余りの爆弾を落として飛び去る。何が起こっているかは見えない」とAlbert K. Aimar大佐は説明する(同大佐は米国に拠点を置く第163偵察航空隊の司令官で、心理学の学士を持つ)。一方、UAVの『Predator』がミサイルを発射するときは、「着弾までの一部始終が見える。それは非常に鮮明で、臨場感があり、自分の身に直接響く。だからこそ、ながく頭から離れない」
どれほどの厚みをもつ調査、取材が行なわれたうえでの記事なのかは不明なので留保は必要ですが、少なくとも仮説として真剣に見当するに値するだけの説得力は持つように思います。湾岸戦争の後、「ハイテク戦争」が人びとから「人間を殺害している」という現実認識を稀薄にしてしまう・・・といった議論がなされたわけですが、兵器のハイテク化が将兵の心理的負担を増してしまった皮肉なケース、という可能性があるわけです。
追記:なかなか力のはいった番組でしたので、近日中に改めてエントリを立てます。第一次大戦からの歴史を辿るからといって、まさか第一次大戦のヴェテランが2人も登場(もちろん100歳以上)するとは思わなかった!