昨日の書評欄から

12日(日)の朝日新聞書評欄で目を引いたのは次の二冊。

前者は酒井啓子氏。のっけから「読んでいて、胸が悪くなる」と書いているのだが、本の評価とファルージャ戦の評価とがちょっとごっちゃになっている感じ。もっとも、「徹底した「米軍」の眼差しで書かれている」と評しているので、両者は表裏一体ということなのだろう。「他国の街に勝手に「ブルックリン橋」と名づけるところなど、端から異なる言語を理解しない姿勢が徹底されている」って、ほかにもそういう軍隊がありましたよね。


文庫化された『ダ・ヴィンチ・コード』と並んでいたのが『ヒトラー・コード』。原題は Das Buch Hitler なので、講談社の「便乗したれ」って思惑で決まった邦題であろう。そりゃあタイトルが売れ行きに大いに関わるのはわかるし、売り上げが出版社にとって主要な関心であるのもわかる。それにしても、あまりに志の低い邦題ではないか…。


結局この二冊はひとまず見送って、代わりに毎日新聞の書評欄に載っていた

  • ギッタ・セレニー、『人間の暗闇』、岩波書店

を買った。トレブリンカ収容所の元所長に70時間の獄中インタビューを行なったジャーナリストの書。




(初出はこちら