歴史を「捏造」しているのはどちらか?


先日「『WiLL』5月号と「百人斬り」と山本七平」というエントリで紹介した、「Dr.マッコイの非論理的な世界」での「百人斬り」をめぐるやりとりが改竄(というか削除)されていることが判明した。幸い、jimusiosaka さんが関連する部分のデータを保全しておられたので、こちらをご覧いただきたい。
drmccoy氏は青狐さんの問いに対して「ウソや屁理屈ばかりを並べて英霊を侮辱している」からだ、と回答しているが、jimusiosaka さんの発言の一体どこに「ウソ」「屁理屈」「侮辱」があるというのか。そもそも「東京日々新聞」の報道通りの「百人斬り」があったという主張など、「南京事件=あった」派のだれ一人として行なっていないのだが…。

もうひとつ、青狐さんの新しいエントリ「南京事件をめぐる「新説」?」および関連するエントリについて。「半端者のつぶやき」のブログ主氏は青狐さんの問いに答えて、「南京の人口=最大時で20万」説の根拠となる資料として次のものをあげている。

国際委員会の人口推計
http://nankinrein.hp.infoseek.co.jp/sumisu~page11.html

しかしながら当該ページには「スマイス博士の結論は「南京陥落時の人口20万〜25万」である」「市の陥落当時(12月12日〜13日)の人口は20万から25万であった」「12月末から1月にかけて日本軍当局によって行われた不完全な登録に基づいて、国際委員会のメンバーが推定したところでは、当時の南京の人口は約25万人であって、数週間前に彼らが特に慎重に推定した数をはっきりと上回るものである」「中国の半官半民筋はほぼ30万と推定していた」などの記述が並んでいる。つまり、この資料は事件当時の南京の人口が「最低でも」20万人であったことを示していると言うべきである。また、スマイス報告の推定には南京行政区に含まれる周辺6県の人口は含まれていない。そのことは比較対象である「南京市の戦前の人口はちょうど100万であった」とされていることからわかる。また、笠原十九司氏が指摘しているように、スマイス報告は生存者からの聞き取りをもとにしたサンプリング調査であるため、一家が皆殺しにあったような事例は結果的に調査対象から漏れてしまい、過小な見積もりになっている可能性もあることに留意する必要がある。さらに重要なこととして、この数字には国民党軍の兵士(5万人とも10万人ともいわれている)が含まれていない。
また、南京事件の犠牲者が「30万人」だというのが「定説」だとされているが、この数字は南京軍事法廷で認定されたもの(それをうけて現在の中国政府が公式見解としているもの)であって、東京裁判の事実認定はまた違うし、現在の日本の歴史研究においても「定説」などではない。


なお、ブログ主氏がもうひとつの根拠として依拠している(かつて野良猫氏も「丸投げ」したことのある)グース氏の議論については、山本弘氏の発言(こちら)も参照されたい。



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