う〜ん、こりゃ「不可」ですねぇ。

寝ているあいだにkikori2660氏myhoney0079氏の間でラリーがあった…というよりkikori2660氏のサーヴがネットに引っかかった、って感じですかね。鬼首モードではしゃいでたkikori2660氏ですが、まったく的外れですから。

ちょっと画像は小さいんですが。すいません。小林は確かに「日本は裁判を受諾したわけではない」と言っているけれども、それ以前の前提として『当事者を拘束するのは「主文」だけである。「判決理由」には既判力はない。これは文明諸国の法の一般原則である。』『「判決」を受諾することが「判決理由」を認めたことになるわけではない!』と述べているんですね。今回のゴー宣はむしろ、この部分がメインの筈ですよ。どうして皆さん、そこを飛ばして議論されているんですか?

これについてはmyhoney0079氏の次の指摘に尽きます。

「当事者」って被告のことでしょうか?そうであればこの対比の対象となるのは東条などの刑の宣告を受けた日本国民であり、日本国ではないと思います。[東条にとっては判決理由による既判力はない、という議論は可能かもしれませんが、]刑を執行すべき日本国は裁判を受諾しないかぎり執行することができません(ここらへんちょっとあやふや)。

「ちょっとあやふや」とおっしゃってますがその通りでしょう(あやふやだ、というのがではなくて「当事者」云々のところ)。講和条約の主体は日本政府、各裁判で判決を受けたのは個人ですから。講和条約は別に元戦犯が(あるいは戦犯の遺族が)裁判批判をすることを禁じたりはしていない。私人の裁判批判を日本政府が取り締まる義務を課しているわけでもない。だいたい『当事者を拘束するのは「主文」だけである』は小林にとっては「日本は裁判を受諾したわけではない」と結論するための前提になっている(実際にはぜんぜんならないんだけど)わけで、結論を別途論駁できるならそんな前提なんてどうでもいいわけ。そもそも私は「小林よしのりの主張は箸にも棒にかからん愚論」と言ったわけじゃなくて、より一般的に「日本が受諾したのは判決だけだ、という議論は箸にも棒にかからん愚論」といったわけ。小林の主張の「メイン」がなんであるとkikori2660氏が考えようが、そんなのは私には関係ないことです。まあ結果的にはkikori2660氏のおかげで野良猫氏の逃げ道がまた一つ減ったわけですから、その点では意義のあるエントリでしたね。
まああれですね、「日本政府」と「日本国民」とを同一視する傾向がある、右派らしい錯覚ではありますよね。国の権利義務関係と個人の権利義務関係をごっちゃにするからはなしがおかしくなる。それと「受諾したのは判決=刑の執行だけで、裁判じゃない」という主張がどのような含意を持つかに気づかない法感覚も興味深いです。日本政府がなんの法的根拠もなしに日本国民に刑罰を与え続けることをヘンだと思わないんですから。


ところで、kikori2660氏はあいかわらず私が「中国様の言う事を聞いてA級戦犯分祀しろよコノヤロー」と主張している、という論拠を示せていませんね。かといって当該部分を撤回しているわけでもない。だから私の反論に対して再反論するつもりでいるのでしょう。楽しみです。