戦史叢書による「バターン死の行進」

防衛庁防衛研修所戦史室の編纂になる『戦史叢書』シリーズ(朝雲新聞社)の一冊、『比島攻略作戦』が箱・付属の図表無しで安く売られていたので購入。「バターン死の行進」については「いわゆる「死の行進」事件について」という一節を設けているものの、わずか2ページ(2段組)のみの記述である。内容的にも旧軍弁護に終始しており、単に過酷な行進を強いただけでなく「パンティガン川の虐殺」*1のような集団虐殺があった、とされる点については完全にネグっている。防衛庁ならぬ防衛省はどのような戦史を編纂するのであろうか。

*1:角田房子、『いっさい夢にござ候』、中公文庫、の376ページに本間中将の戦犯裁判の起訴事案として紹介されている。辻正信が捕虜殺害命令を独断で出していたという説については384ページ以降で紹介されている。