夏淑琴さん損害賠償請求訴訟、原告勝訴(追記あり)

コメント欄でグリフィンさんからもご指摘がありましたが、東中野修道の著書において偽証言者であるとされ名誉を傷つけられたとして、南京事件の生存者が著者と出版社(展転社)に損害賠償を請求していた訴訟において、原告勝訴の一審判決が出ました。
(追記:コメント欄でゆうさんからご教示いただきましたが、判決全文ピッポさんの手によりアップロードされています。)


時事通信社 11月2日 「著者に400万円賠償命令=南京大虐殺めぐる書籍−東京地裁

南京大虐殺に関する日本の大学教授の著作で「偽の被害者」と指摘されたとして、生存者の夏淑琴さん(78)が教授と出版社に計1500万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は2日、「指摘は真実ではなく、名誉棄損に当たる」として、400万円の支払いを命じた。
(…)
 三代川三千代裁判長は、虐殺を記録した英語の資料を同教授が分析し、夏さんを偽者扱いしたことについて、「資料の解釈は妥当なものとは言えない」と述べた。

詳細がわかり次第追記する予定です。


東京新聞の記事がアップされました。

三代川三千代裁判長は「本の記述は、原告が生存被害者ではないのに被害者と偽っていると強く印象づける内容。資料の解釈は妥当ではなく、学問研究の成果にも値しない。真実や真実と信ずべき相当な理由は認められない」と判断した。
 東中野教授は「非常に心外。控訴する方針」と話している。

とのことです。


朝日の報道が現時点では一番詳しいですね。

 判決などによると、事件翌年に米国人牧師が現地で撮影した16ミリフィルムがあり、解説文の中に「8歳の少女」が登場する。東中野教授はこの解説文を検証して、著書で「『8歳の少女』と夏淑琴は別人で、事実を語っていない」という趣旨の指摘をした。

 三代川裁判長は、解説文中の「銃剣で突かれた」という意味の英語を東中野教授が「銃剣で突き殺された」と訳したために別人と誤って解釈したと認定。「通常の研究者であれば矛盾を認識するはずで、原資料の解釈はおよそ妥当ではなく学問研究の成果に値しない」とし、教授の指摘は「真実であるとする理由がない」と判断した。

この"bayoneted"という語の誤訳問題はネットではすでに指摘されていましたが、裁判でもこれが効いたってことでしょうかね。