河村たかし発言、続報
前回のエントリのコメント欄で pipisan さんが問題の発言の書き起こしを投稿して下さっています。動画はこちらから閲覧することができます。
発言そのものについてコメントする前に、まずは質問者としてこの答弁を引き出した東郷哲也市議(自民)について。2008年の5月に行なわれた日中首脳会談に際しては自身のブログで次のように書いています。
最近の日中関係をみると、ギョーザ問題やチベット問題で世論調査によると中国に対する風当たりが強い。私は、日中友好をライフワークに取組んできたのでこうした動きはとても残念である。
小泉元首相が、靖国参拝で中国との関係が冷え切っていたが、外交というものは対等で毅然とあるべきだが、相手の立場も互いに尊重してこそ友好が生まれる。
日中関係は、歴史や文化を考えると日本は中国から多くのものを取り入れてきた。経済的にもアジアの一員としてパートナーとする必要があると思う。中国の経済成長は著しい。貿易や日本企業の進出など、もはや中国と政治的な対立でケンカしてもなんの得もない。
(中略)
今のマスコミ報道をみていると、「中国=悪」としているように思うが、ブログでも触れたがパンダを嫌いな人はいないだろう。今回の首脳会談、レンタル料の問題はさておいて、「パンダ外交」として新たな歴史を開く一ページとなるだろう。
ところが、「週間TO!GO!」と題するコーナー(「週間」はママ)の「4/27〜5/3」号を見ると次のような記載が。
5月3日(土)
『南京の真実-七人の死刑囚』上映会。
何のコメントもついてませんが、南京事件否定論に批判的な人間が何のコメントもなしに上映会の紹介をする類いの映画ではもちろんありませんし、南京事件に関心がなければそもそも存在を知らないであろう映画です。質問の文言とあわせ考えれば、ガチで“真実に目覚めちゃった”系の市議さんのようです。気になるのは、南京事件否定論は否定論として主張しつつ中国との経済的な関係から生まれる利益は失いたくないという使い分けをしているのか、それともガチで南京事件の「真実」を明らかにすることが日中友好に役立つと思っちゃってるのか、です。史実に迫りたいのなら河村たかしメソッドなどアテにしていてはいけないのですが・・・。
また、報道された河村市長の答弁が終わった後に面白い一幕がありました。共産党の江上博之市議が発言を求め、次のように述べます。
ただいまの、市長の、南京問題についてさまざまな意見があるということ(を)言われましたが、本来これは事実はどうなのかということについて歴史的にも、あるいは政府の見解も含めてはっきりしている問題、あるいは議論があったとしても、いまのような市長という立場でこの場で発言するような内容ではない。そのことをきちんとふまえて、議事録精査のうえ、削除すべきことはしていただく・・・ことを願って、議事進行と致します。以上です。
これに対して自民党の藤沢忠将市議が「河村市長に珍しく意見が一致」として、議事録からの削除は不要と発言しています。とりあえず市議会でもノープロブレムとスルーされたわけでないことが救いでしょうか。
さて、河村発言から新たなツッコミどころを探すとすれば次の部分でしょうか。
で、後、いわゆる捕虜収容所の中で放火が行われてですね、それで銃撃戦になってしまった。そこで市民が残念ながら亡くなった。
捕虜収容所で「銃撃戦」が起こるとしたらその前に捕虜が武器を奪取する必要があるんですが。しかもなぜ「市民」に犠牲が? その少し前に「30万人(の)虐殺、市民の虐殺」と発言していて、これは両義的な表現ですが、ひょっとすると「30万人=市民を30万人虐殺」と思い込んでいる可能性もあります。
それから日本軍が残っとる人をまあ、川から逃がそうと思ったところが、中国軍が誤解して銃撃戦になってしまった、残念ながら非常に多くの市民が揚子江で亡くなったと、いうことも事実でございます。
これと先の引用部分を考えあわせると、山田支隊による捕虜の殺害の事例のことを言っているのかもしれませんが、ここでも「市民」です。市民を「川から逃がそうと思った」って?