「阿呆風、お前が口を動かす度に吹く」

彼らの心はデカいアイデアやイメージ、歪められた事実で一杯になっている
-Bob Dylan, Idiot Wind, 1975


いや〜、6年前のエントリの焼き直しでブクマが150近くつくとは……。
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/Apeman/20130627/p1
旧日本軍「慰安婦」問題に関して、例えば「河野談話を撤回する必要などない」と考えるひとが、ことさら情報収集しようと思わなかったとしても、それは無理もないことでしょう。積極的に事態を変えようとは思ってないわけですから。でも、コメント欄やブクマの歴史修正主義者には聞いてみたいですね。あんたら、こんなことも知らずに「河野談話ガー」とか言ってたのかよ、と。
では、コメント欄やブクマの「阿呆風」をご紹介しましょう。

「証拠の有無」と「証拠の評価」が別の問題だということがわからない人々です。裁判員には絶対になって欲しくない(被告人にとっても、当該事件の被害者にとっても)タイプの人々ですね。言うまでもなく、先のエントリの主題は「証拠の有無」のレベルに位置づけられるのであって、このレベルで安倍晋三が嘘つきであることを確認すれば「証拠の評価」というレベルに進めるわけです。なお(コメント欄にて uchya_x さんが指摘済みですが)、後者の論点についてもそれに先行するエントリで言及済みです。

ちなみに、バタビアでのオランダによる戦犯裁判については、弁護人をつとめた日本人が戦後に次のように回想しています。

 裁判の弁護を担当した萩原竹治郎弁護人が一九五八年三月二十八日の聞き取り調査で、この事件を含めた日本軍の戦争犯罪について手厳しい意見を述べている。
 オランダ軍によるバタビア裁判全般についての所見として、「起訴状に出ているくらいのことは事実であったと思う」という。
(……)
 荻原の聴取書は「実際にやっているのに無罪になったものもいる。戦犯的事実は起訴された五倍も十倍もあったと思う」と突き放すような言葉で終わっている。
半藤一利秦郁彦保阪正康・井上亮、『「BC級裁判」を読む』、日本経済新聞出版社、161-162ページ)

(http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20130622/p1)

橋下市長の詭弁にころっとやられている人達( y-wood 氏についてはブコメの意図するところが不明ですが、とりあえずここにカテゴライズしておきます)。2007年以降に海外で採択された諸々の決議、それから河野談話、第一次安倍内閣における問題の閣議決定等のどこに「国家の意思による強制連行」という文言があるのか、ぜひ教えてもらいたいものです。「国家の意思」はどのように認定されるのか、とか「国家の責任は国家の意思による行為ないし不作為に対してのみ追及されるわけじゃない」といった問題はまだ kumonopanya 氏には早すぎるので。

ライタイハンガー」なひとたち。韓国人元「慰安婦」や韓国の市民団体などがつくった「ナビ基金」はコンゴ内戦における性暴力被害者につづき、ヴェトナム戦争時の韓国軍による性暴力被害者にも支援金を拠出しましたが、「今後日本政府から賠償金を受け取った場合にはナビ基金に組み入れる(つもりである)」というはなしを「韓国によるベトナム30万人虐殺の賠償を日本が行うべき―慰安婦が訴え 」などとわい曲した輩もいましたね。
とりあえずこのお二人には、韓国その他の軍隊による性暴力について、自らを納得させる水準の「証拠」を提出してもらおうじゃありませんか。その水準がそれ以降、旧日本軍「慰安婦」問題を論じる際の「証拠」の水準となるでしょう。

「読解力がゼロ」系。私がエントリ中で引用した箇所だけでも他に「モア島、カリマンタンボルネオ島)」「チモール島のポルトガル領(現東ティモール)」といった地名が挙げられているわけですが。なお、nippondanji 氏には「スマランの件は日本軍としては違法行為でその後見つかって処罰されてる」の証拠を提出するよう、要求しておきましょう。池田信夫先生に相談するといいアドバイスをくれると思いますよ!

意味不明系。なお id:m-m-matsuoka とか id:gingin1234 が「意味不明系」なのは今さらいうこともないのでリストアップしません。
gimonfu_usr 氏は氏は「誤読曲解、不届きなブックマーク等々ありましたら、御教示いただくか、不可視処置などお願いする次第」と称しているのでこれまでも再三「誤読曲解、不届きなブックマーク」だと指摘してきたのですが、相変わらず意味のあるブコメを書けないようです。「新事実じゃない」ことを指摘したエントリに対して「「新事実」ではないのではないでしょうか」などというブコメをつけられたのでは、困ってしまいますね。