『朝日』は歴史修正主義者たちによる提訴で本気を出すだろうか?

http://www.sankei.com/affairs/news/150126/afr1501260037-n1.html
朝日新聞を糾す国民会議」が原告を募集していた訴訟の提起を伝える『産経新聞』の記事ですが、植村隆氏が『週刊文春』と西岡力氏を訴えた時とは随分態度が違うのは、気のせいでしょうか?
http://www.sankei.com/affairs/news/150110/afr1501100004-n1.html
きっと『朝日』に対する訴訟を「言論の自由に反している」とする社説を掲載してくれるものと思いますw


さて、この種の集団訴訟にはご承知の通り先例があります。「人間動物園」という述語を用いていた NHK スペシャルの「JAPANデビュー」シリーズの第1回、「アジアの“一等国”」に対するものです。
http://www.ch-sakura.jp/topix/1054.html
ただし大きな違いもあります。対NHK訴訟では番組で取り上げられた台湾先住民の男性の子孫を担ぎ出したのに対し、対朝日訴訟では彼女に対応するような存在が欠けている、という点です*1。対NHK訴訟の時もチャンネル桜などは「一万人訴訟だ!」と気勢をあげていたわけですが、一万人の原告の大部分は請求を棄却されています。
この前例にならうならば今回の対『朝日』訴訟も損害賠償請求が棄却されておしまいでしょうが、注目点は(1)原告がどれほど珍妙な主張をするのか、(2)『朝日』がそれに対してどこまで本気で反論するのか、です。
いわゆる歴史認識問題をめぐる訴訟では、東史朗裁判のようなケースもあるものの、概ね歴史修正主義者たちの目論見を打ち砕くような判決が出ています。右派論壇で通用しているデタラメはさすがに裁判所では通用しないからです。特に「百人斬り」訴訟では、被告側の弁護活動により両少尉に不利な証拠が発掘され、判決で事実上両少尉による「据えもの斬り」が事実認定されるという、歴史修正主義者たちにとっては痛恨の結果となりました。
今回の訴訟は被告『朝日新聞』のやる気と裁判所の判断(=どこまで「慰安婦」問題に踏み込んだ裁判にするか)次第では右派の目論見をくじく機会にできるのですが、さてどうなりますことやら。

*1:他にも NHK と違って『朝日新聞』は放送法に拘束されていない、といった違いもありますが。