大変だ、秦郁彦先生に「社会的制裁」が加えられてしまうかも!

(16日にアップした記事なのですが、このところ一旦アップした記事を再編集すると文字化けするという現象が起きるようになっているのを忘れてうっかり追記しようとしてしまいました。解決策は「その日の日記を丸ごと削除する」以外に今のところ見つけられていないので、すでにいただいているコメントとともに記事をこちらに転載します。)

表現の自由」を謳歌するわが国では、ハリウッドスターたるアンジョリーナ・ジョリーの*1監督作品という話題作『アンブロークン』も、テロリストの手を借りるまでもなく“消費者さま”のご意向により劇場未公開に終わるかも……という情勢でございます。それというのも、この映画が「旧日本軍将兵による人肉食」という「捏造」(語の『産経新聞』的な意味での)をやらかしているからであります。
不逞左翼たる私の書架にももちろん、この父島人肉食事件を扱った赤い書物がございます。同書から戦後の戦犯裁判における関係者の供述を引用します。

 最初の人肉食事件は一九四五年二月二十三日から二十五日までの間に起こりました。当日私は司令部に赴き立花将軍に飛行士は末吉隊で処刑せらるべき旨を報告しました。司令部で酒を出され、話題はブーゲンビルやニューギニア駐屯の日本軍のことに移り、食料の備蓄及び供給が絶えたる部隊は人肉を食せねばならぬという話が出ました(中略)そこへ加藤武宗大佐(独歩三〇七大隊長)が我々のために設けた宴会に出られたいとのことで赴いたところ、酒も肴も十分にないことが判りました。このために将軍は不満足で、何か肉類の食物をもって多量の酒を得られる所はないのかという話になりました。
 将軍は私に処刑のことを尋ね肉を手に入れられないかと訊ねました……肉と甘藷酒一斗が届き、肉は加藤大佐の部屋で料理され、その座に居合わせた者は全部少しずつ味わいました。勿論誰一人美味かった者はありませんでした。

なんと、軍紀厳正にして武士道精神に溢れる皇軍将兵が、ただ酒の肴が足りないという理由で捕虜を食べた、というのです! とんでもない捏造(語の『産経新聞』的な意味での)ではありませんか! 一体誰だ! こんな怪文書を書いたのは!

西尾幹二先生に「今の時代の典型的な『進歩的文化人』」としての正体を喝破された(『WiLL』2009年4月号)秦郁彦さんじゃありませんか!
これは大変です。昨今は、反日的な捏造(語の『産経新聞』的な意味での)をやらかした人間には「社会的制裁」が加えられて当然、などとアジっている怖いおじさんもいるようです。秦センセイの安全が心配です。


追記:ブコメで「風習」がどうたらと不思議なことを言い出してるのがいますが、それ産経の誤訳なので。Ai さん、ご教示ありがとうございます。以下に転載するコメント欄参照。id:tukaima

ネトウヨキラー@反日ブサヨ代表 2015/01/17 21:41
良識ある反日ブサヨの同志の皆さんこんばんは!
今日もにっくき中世ジャップランドの滅亡を願って元気にネトウヨ連呼しまくりましょう!
我々がネトウヨ連呼すればするほどにっくきネトウヨどもは追いつめられていきますヨ!
そして我々の悲願である中世ジャップランド滅亡にまた一歩近づくのです!

あそれ、ネトウヨネトウヨネトウヨネトウヨ
ネトウヨネトウヨネトウヨネトウヨ
ネトウヨネトウヨネトウヨネトウヨ
ネトウヨネトウヨネトウヨネトウヨ
ネトウヨネトウヨネトウヨネトウヨ

todo 2015/01/17 22:26
↑ この手の書き込みって、

「相手の言ってることが気に食わないから、なんか言ってやりたい。けど、正面から、当を得た批判とか反論とかするのはなかなか難しいそう。なので、とりあえず、悔し紛れの負け惜しみ的に書いてみました。」

という意味以上のものって、あるのでしょうか?

Apeman 2015/01/18 01:12
ないですよねw
owenowen 2015/01/18 06:45
「事件」と呼称している事からして異常事態だった事は明白で、決して「風習」などではない事の証明になっていますね

うさぎ 2015/01/18 11:10
「風習」の話は噴き上がったウヨしかしていないようですなあ。
事件の話は映画でもでてくるのだろうけど、それは何も問題ないですね。
結論:ウヨは低能である。
通りすがり 2015/01/18 12:05
悪意の発露程度の意味しかない、議論や意見の交換とは別種のコミュニケーションなのでは。書き込まれた時点で目的は果たされており、完結しているといえる。喧嘩の時にしばしば放たれる意味の通じない発き話に機能的に近いのでは。

Apeman 2015/01/18 15:11
「事件」と呼ばれているから「異常事態」だったって、なにその珍理論?

うさぎさん

そもそも食人を本質主義的に特定の民族の「風習」とするのはレイシストだけですからね。
なお映画の中には食人の場面は出てこないと聞いています。「だから反日映画じゃない」というのも変な話なのであえて強調してませんけど。

通りすがりさん

>書き込まれた時点で目的は果たされており

ま、本人にとってはそうなんでしょうね。もっとも「効果」は皆無だけどw

Apeman 2015/01/18 15:19
なんで「風習」なんて話が出てくるんだろう? と思ったらこんなブコメがついてますね。

tukaima ご紹介の出来事について日本人としては真摯に内から理解をする努力をして発言すべき話題。"ritual acts of cannibalism"という認識が元捕虜の方の視点から離れて国際的誤解の連鎖につながることは避けたいもの。

で、調べてみたら原作には捕虜たちが "beaten, burned, stabbed or clubbed to death, shot, beheaded, killed during medical experiments or eaten alive in ritual acts of cannibalism" という記述があるみたい(いろんな記事で引用されている)。
しかし飢餓状態での緊急避難的な食人でないなら(そして現に父島では飢餓は生じていなかった) "ritual acts of cannibalism" だとするのはごく普通の解釈でしょう。

Ai 2015/01/18 21:12
私もなぜ「風習」などと言い出す人がいるのかわからず、検索してみてわかりました。

http://www.sankei.com/entertainments/news/140705/ent1407050013-n2.html
>問題なのは、原作に事実とは受け取りがたい記述があること。例えば捕虜の扱いについて「eaten alive in ritual acts of cannibalism」とある。訳すと「人肉食いの風習で生きたまま食べられた」。これを、そのまま映像化されてはたまったものではない。

こういう意味不明な思い込みをしている人たちがいるんですね。
一体何をどうしたらin ritual acts of cannibalismを「人肉食いの風習で」と解釈することになるのか理解しかねますが、まあ伊藤徳裕氏ですし、産経ですしねえ。
「本当はviewと訳すのが正しいのにpositionと『意訳』した」とか、「日本語では『黙殺』だったのにignoreと誤訳した」とかと同じような案件でしょうか。

*1:ツイッターにてご指摘をいただきました。「初」監督作品ではなく2作目とのことです。