迷ったんだけど…(追記あり)
ご本人は「勉強」する、ってつもりがおありだし、頭ごなしに否定しようとしているわけではないから言及するかどうか迷ったんですが。まああちらからトラックバックいただいたわけですし、私が言いたかったことの一つが十分伝わってないような気もしたので。
南京事件については情報収集中
教科書に載ってることで実は専門家の間で見解が分かれたり、後になって「まちがい」ってわかるケースがある…というのは事実です。私が子どものころはネアンデルタール人は現世人類の祖先で、恐竜は爬虫類(の祖先)だって教えてられました。邪馬台国の場所だとか聖徳太子が実在の人物か? なんてのも見解の分かれるトピックですな。
しかしそれにしたって教科書の記述は相当程度安定していると思われる学問的成果を反映しているわけで(そして教科書検定に意義を見いだすとすればそこにしかないわけで)、ほとんどの人は教科書の記述のほとんどをわざわざ疑ってみたりはしないわけです。そして南京大虐殺についても、「あったか、なかったか」という水準で言えば、「あった」が学問的な結論であることは文部科学省(そう、あの文部科学省です)ですら認めているわけです。昨年の3月31日に産經新聞が報じたところによれば、「不法殺害を「ゼロ」「限りなくゼロに近い」とする“まぼろし派”も多いが、 文科省は「日本や東アジアの近現代史の専門家がおらず諸説には含めない」としている」とのことですから。実際、「不法殺害=ゼロ(に近い)」を主張しようと思えば、武装を解除され後ろ手にしばられた中国兵を機関銃等で集団殺害したケースを「合法」と言い張らねばならないんであって、そんなことを日本政府が主張できるわけがありません。だって、海外に派遣される自衛隊員の身にもなってくださいよ。否定派の主張によれば、「戦闘中」という口実さえあれば捕虜を殺してかまわない、っていうんですよ? 自衛隊員にも「生きて虜囚の辱めを受けず」を強要するつもりなんですか?
え〜ちょっと脱線しましたが、要するにですね、南京事件とか従軍「慰安婦」問題とかごくごく限られたトピックについてのみ教科書の記述を疑うことの異常さだけは、せめて自覚しておいてください、ってことです。「情報不足」とか言うひといますけど、日本人の大半はシベリア抑留についてだってよく知りませんよね? 「どんな証拠があるか」とか。だけどわざわざ「シベリア抑留はあったのか、なかったのか?」と疑う人はほとんどいませんよね? これってダブスタじゃないのか? って自覚だけはせめてもっていてください。
追記:あ〜とは言ってもですね、「火中の栗」なんて大げさなはなしじゃないですから。現に私だって別に右翼の街宣車に悩まされるわけでもなく、「炎上」すらしないわけです。知りもしないことについて訳知り顔で書いたり、自分でも嘘とわかってることを強弁するからややこしいことになるんであって。
再追記:kseikaku0801さんからお返事いただきました(トラックバック参照)。当方の趣旨はご理解いただけたようで、安堵いたしました。