旧ソ連による抑留者の個人カード公開

asahi.com 2009年9月8日 「シベリア抑留、75万枚の証し 個人カードをロシア公開」(魚拓

 【モスクワ=副島英樹】第2次世界大戦後にシベリアなど旧ソ連に抑留された日本軍人らの個人情報を記した新資料を、ロシア国立軍事公文書館朝日新聞に公開した。カード形式で約75万枚。シベリア抑留の全体像の解明につながると期待されている。全資料はスキャンしてCD化され、日本側に提供される。
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カードには収容所の番号をはじめ、「氏名」「誕生年・生誕地」「職業」「軍階級」「捕虜になった場所と時期」「移動歴」など、表と裏に計13の欄がある。それぞれの収容所で手書きされ、かすかに変色していた。


 カードは館内の別の収納庫に保管されている約56万人分の個人ファイルを引き出す目録の役割を担う。コロタエフ副館長によると、カード2〜3枚に重複している人もあり、最終的にカード数はファイル数に近づくとみている。


 逆に、引き出し一つ当たりに5〜8枚程度、個人ファイルの番号欄が空白のカードがあり、数千人分の新情報になる可能性がある。日本の厚生労働省は、モンゴルを除くシベリア抑留者を約56万1千人、うち死亡者を約5万3千人と推定しているが、これまでロシア側から提供された死亡者名簿は約4万1千人分。死亡推定者の日本側資料とカードを照合し、死亡時期や埋葬地の解明など空白を埋めることも期待される。
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ロシア(ソ連近現代史については不勉強なので、“作成された文書は基本的にすべて保存され、公開されている”のか、“本当にヤバいと当局が考えるものは破棄されたり隠蔽されているが、とりあえずこれは保存され公開された”のかを判断する術がないのですが、まあ後者だとしてもこれまでの日本政府よりはマシと言わざるを得ないですね。
別にロシア政府がこの旧ソ連の国家犯罪に対して自ら賠償するわけでもなく*1エリツィン時代の謝罪を現政府が引き受けるつもりがあるのかどうかも不明*2であるとはいえ、これらの文書が歴史に対して責任をとる(とらせる)ための重要な足がかりになることは確かでしょう。もちろん「父が(兄が)どこでどのように亡くなったのか、死後どこに葬られたのか、正確に知りたい」という遺族の願いに応えるためにも。

*1:ただし労働証明書の発行はしているので、未払い賃金に関してはそれを日本政府が支払うことは可能になっている。

*2:日本の「何度謝ったらいいんだ?」派の人々によればエリツィンが謝罪した以上それでお終い、ということになるはずだが、しかしプーチン=メドヴェージェフ政権がシベリア抑留についてのエリツィン政権の認識を継承するのかどうかを問うことには十分な意味がある。現政権の人権感覚を問うことにもなるし。