あなたが好きなのはどちらのアメリカですか?

掲示板で smtz8 さんから情報提供をいただいた件についてです。

  • asahi.com 2011年8月14日 「「日本軍性暴力パネル展」始まる 北京郊外で日中共催」(魚拓

このパネル展をとりあげた卑しい記事は次のような論法を用いています。

(……)しかし、中国ウオッチャーの宮崎正弘氏はこういう。


日本の市民団体が中国側をけしかけて、こうした展示会をやらせているのが問題。市民団体としては日本の新聞に掲載されるのが目的でしょうね。また、彼女たちは日本で裁判をするためにも、被害者を集めたい。裁判に負けようが、それを通じて支持者を広げようと考えているのでしょう」


かくして中国の若者たちに、日本人への憎しみが植えつけられていく

強調は引用者。戦争責任なり戦争犯罪についてはまず事実を否定したい、しかしそれが常に通用するとは限らない……ということで登場するのが「自虐」というレトリックであるわけですが、「自虐」一点張りでは芸がないと思ったのでしょう。しかし当ブログの読者の方なら、これが決して新しい手口でないことをご存知でしょう。そう、山本“事実であろうと、なかろうと”七平が使ったインチキの一つです。
それにしても、こんな論法に説得力を感じることのできる人々の頭の中はどうなっているのでしょう? ロシアの市民団体が日本で「シベリア抑留パネル展」を開催したら、日本人はロシア人への憎しみを植えつけられることになるのでしょうか? アメリカの市民団体が日本で「原爆被害パネル展」を開催したら、日本人はアメリカ人への憎しみを植えつけられるとでもいうのでしょうか? シベリア抑留の犯罪性を認め謝罪するロシアと、シベリア抑留を否認したり正当化するために詭弁を弄するロシアとを比べたとき、どちらがより信頼に値するでしょうか? 立場を入れ替えてみれば、いちいち問うまでもないことは自明ですね。