やれやれ…

ちょっと前に話題にした左側の「9.11陰謀論」の件。


kikulog 「憲法9条と911陰謀論、または安斎先生はどう考えておられるのだろう(追記あり5/2)」
good2nd 「9.11陰謀論はカンベンしてくださいよ」


正直なところきくちゆみ氏の知名度とか影響力がどの程度のものなのかよく分からない。ただ、もしこれを「きくち氏の陰謀論が“平和運動関係者”の狭いサークルを超えて漏れ出てきた」現象と考えることができるなら、逆にこれはチャンスとも言えるのではないだろうか。というかチャンスとして活かすべき。


陰謀論は単に誤った認識というより、誤った認識を体系的に生みだす解釈枠組みだ。しかもどんな証拠を提示されようがなかなか認識を改めずにすむという防衛装置付きの。だからこそ陰謀論にはまっている人の主張について、「特定の話題に関して間違った認識を持っているだけ」と高をくくるのはあやうい。とはいえ、批判すればするほど陰謀論者は自説への確信を深めてしまうことが多いので難しいのだが…。


追記:ブクマコメントより

BUNTEN ニセ科学, 思想, 科学 トンデモとか陰謀論の源は真っ先に対象の意図を推測するという人間の思考の偏りにあるような気がする。(…)

これについては good2nd さんも上記エントリで「なんだか「人類の悲惨は、常に悪い奴の悪意によって引き起される」みたいな思考が見え隠れするような気がしますが。どうかな?」とよく似た趣旨のことをおっしゃってます。私見では、これは特定の思考法の問題というより、相当程度生得的な認知メカニズム−−デネットが「志向的スタンス」と呼ぶような−−に根ざした問題だろうと考えているので、BUNTENさんの表現の方がしっくりきます。「物語」による記述が「わかりやすい」のと同じ理由によることでしょう。「志向的スタンス」*1をとりうるようになったことで人間は非常に複雑な相互作用を行なえるようになったわけですが、「志向的スタンス」が適合しない現象にもそれを使ってしまうという弱点も抱え込んだ、と。ネコは(陰謀を企んでいそうな立ち居振る舞いにもかかわらず)陰謀論者にはならないでしょうから。

*1:デネットの主張にコミットするわけではないのだが、とりあえず簡潔に表現するのに便利なのでこの語を用いる。