ポル・ポト派の虐殺に関する総合学習施設、建設

9月10日の朝日新聞朝刊。ポル・ポト派による虐殺を調査・研究している「カンボジア資料センター」が虐殺についての学習施設をプノンペンにつくる、との報道。

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 政府関係者によると、和平合意に伴う93年総選挙で発足した政権以降、公立学校でポト派について教えていない。ポト派元幹部の特別法廷の一審を控え、「現在進行形の政治課題となっている」との理由だ。このため若い世代は詳細を知らないのが実情だ。
 同センターは米国際開発局(USAID)などの資金援助を受けて虐殺関連の資料を収集し、特別法廷にも提供してきた。また、学校でポト派時代の実態を教える重要性を政府に訴え、07年には若い教師のための副読本を完成させた。政府と共同で高校の教師3千人を対象に研修を実施する計画も進めている。
 ヨク・チャン所長(47)は「国民はもちろん、世界各国の人々に大虐殺の歴史を知ってもらうことが二度と同じ歴史を繰り返さないことにつながる」と話す。

ポル・ポト派特別法廷は先月になってようやく最初の起訴を行なったばかり。
asahi.com 「ポル・ポト特別法廷、初の起訴 元収容所長」

 【バンコク=柴田直治】カンボジアで起きた70年代の国民大虐殺に関与したポル・ポト政権の元幹部らを裁く特別法廷は12日、捜査判事が8日にツールスレン収容所のカン・ケク・イウ元所長を人道に対する罪などで起訴したと発表した。同法廷発足後、初めての起訴。
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犠牲者数が当時の人口に占める割合の高さを考えれば草の根での記憶の継承にも限界があろう。内戦の記憶も新しいだけにセンシティヴな問題であることは否定できないが、政治的な環境が好転した時には学ぶ環境が消え去ってしまっていた・・・という事態にならないよう、備えておく必要はあろう。