捕虜観の「分水嶺」、空閑少佐の自決

朝日新聞の連載シリーズ「検証 昭和報道」、7月31日はダッカ事件の報道、交通事故報道の変遷と並んで第一次上海事変で捕虜となりその後“自決”を強いられた空閑少佐についての報道などがとりあげられています。「分水嶺」とは記事中でも引用されている秦郁彦氏の『日本人捕虜』(原書房)にみられる評価です。この事件以降、捕虜になるくらいなら自決することを美談視する認識が定着する、という意味です。
同記事中に「陸軍士官学校の同期生から空閑あてに自決勧告の電報が届いた」ことも紹介されていますが、この点も『日本人捕虜』に書かれています。陸士22期の空閑少佐の同期には、部下に自決を仄めかしたものの「責任を真実感じておられるなら、黙って腹を切って下さい」と言われて(、と伝えられている)結局自決しなかった超有名な軍人がいます。