「動画で出せや動画で」だってさ

歴史修正主義を批判するとコメント欄に実例が現れてエントリの正しさを証明してくれるという、よくある現象の最新のケースがこれであるわけですが。彼らがこの問題についてまともな文献の一つも読んだことがないことは、もちろん彼ら自身がよく承知しているはずです(彼ら自身のことなんだから)。『慰安婦と戦場の性』すら読んでないですよ。それでいてあれだけ自信たっぷりに語れてしまう、あるいは語る準備が自分にはあると思うことができる、というのはやはり注目に値することでしょう。だから私が「ちゃんと本を読みなさい、本を」とコメントした時にも、もちろん「彼らがまともな本を読めば、考えを変えるだろう」と想定していたわけではなくて、「彼らは、戦時性暴力を問題視している論者の本を自分で読むことは、断固として回避し続けるだろう」と想定してのことです*1
そんな彼らの意識の一端を明らかにしてくれているかもしれないのが、「動画で出せや動画で。/1900*1280サイズでも鮮明に見られる60fpsのカラー動画な」という id: enderuku の迷言です。ニコ動とか Youtube にアップされているプロパガンダ動画を真面目に情報源として扱っているということなのか。それとも、自分たちの依拠しているのが、史料や証言に基づいた丁寧な歴史記述よりもインパクト重視のワンフレーズ・ニセ歴史学であることをもはや隠そうともしていないということなのか。

*1:なお「本を読め」云々は識字をめぐる差別的構造を考えれば注意を要するフレーズです。ただ、この場合は、一般読者向けに書かれた文献を読めないはずがないことは、彼らがコメントを投稿したことによって明らかになっていますので。