言論ゾンビを跋扈させるマスメディア(追記あり)

数日前にブクマをつけていた「「たかじんのそこまで言って委員会」の南京事件検証動画が秀逸すぎる。 | ねとうよ速報」の件。敗訴確定以来引き合いに出されることもめっきり減った―― CiNii の論文検索でヒットするのも2008年10月号の『WiLL』に掲載されたものが最後だ――東中野修道も、新規参入者には「秀逸」に見えてしまうらしい。「証拠写真が〜!」という論法は面と向かっての状況であれば一番論破が簡単なんですけどね。目の前に手持ちの文献、資料集を積み上げて「さあ、一体どれだけの写真が“証拠”として使われてますか?」と問えば、相手は黙り込むしかないから。でも、マスメディアが歴史修正主義へと積極的に加担している状況では、言論ゾンビが次から次へと現れてくるのは避けがたいです。今晩の「TVタックル」でも予告に「尖閣めぐる中国の動き&河村発言&南京事件は!?」なんて文字が踊っていて、一体どれほど酷い扱いになることやら。番組サイトの予告のちょうど下には「お知らせ」が掲載されてます。昨年12月19日に放送した3時間スペシャルの「食い物にされる!?ニッポン外交」というコーナーで、「慰安婦」問題解決を求めるデモの映像を流した際、デモ隊の「(国連の)勧告に従え」というコールに「韓国に従え」という字幕をつけたのだそうで。「お知らせ」では誤変換ではなく「誤認」とあるので、制作スタッフが「韓国に従え」という主張だと理解し、その理解の通りに字幕をつけたことになります。コーナータイトルとあわせ、「慰安婦」問題をとりあげる姿勢がどれほど歪んでいるかがよくわかるエピソードです。
それでも、前出の「……秀逸すぎる」にしてもそこそこ批判コメントが見られるし、pippo さんのサイトの URL が貼られているほか、つい先日私がここでコメントしたばかりの資料集リストがコピペされてます。こういう風に使われれば、こちらも書いた甲斐があるというものです。
しかし、「マスメディアがとりあげない、ネットにだけある真実」って、南京事件否定論じゃなくて否定論批判派にこそ当てはまることだよなぁ……。ネットで「否定論は嘘」という真実に目覚めて欲しいものです。


ついでなので、Togetter にまとめられている「野嵜健秀さんの南京否定論」についてもひとこと。といっても、ほぼすべてのツイートがデタラメといって過言でないので、ここではまとめた人が「定義論」と称している点についてのみ。正確にいえばこれは「定義」の問題ではなく、出来事の存在論の問題ですね。彼が振り回している超絶抑制的な存在論を他の歴史的出来事に適用したりしないことは、容易に予想がつきます。選択的懐疑主義と似たようなもんです。


追記:『TVタックル』、予想通りでした。