神秘の国、ニッポソ
すでに scopedog さんがツッコミを入れておられますが、ネットの「慰安婦」問題否認論者にとって日本とは輸送船や鉄道やトラックなどの存在を知らず、1938年にはすでに制海権も制空権も失っており、しかしたった2万人(4単位師団なら1個師団以下)で8年間も広い中国大陸で戦い続けた国、ということになるようです。
http://b.hatena.ne.jp/entry/alfalfalfa.com/archives/5500460.html
しかし実際には、中国に配置された日本軍は、最大で100万人を超えていました。しかもこれは東北部=満洲の関東軍を除いて、の数字です。そして「輸送船」というものを持っていた日本軍は、例えばガダルカナルにまで慰安婦を送っていたわけです。
これ↑は『日本の戦歴』(毎日新聞社、1970年)掲載の写真。
こちら↑は『別冊歴史読本 特別増刊 未公開写真に見る日中戦争』(1989年)掲載のものです。
パリセイズ・パーク市に建てられたという碑の写真を見ると、"the more than 200,000 women and girls who were abducted by the armed forces of the Government of Imperial Japan" (emphasis added) なる言葉が刻まれています。「20万」という数字については、研究者による推定の範囲に収まっていますから、記念碑という性格を考えるとまだ容認可能でしょうが、"abducted" という語はみすみす日本の歴史修正主義者に付け込む隙を与えるようなものです。それでも「制空権も制海権も失った状況」とか「中国に進軍した日本軍が2万人」などと比べれば、はるかに現実に即していますけれどね。