西村真悟の主張は全然特殊じゃない

西村「強姦 してもなんにも罰せられんのやったら、オレらみんな強姦魔」*1真悟の妄言が問題化したのを受けて、安倍首相に同趣旨の発言歴があることを指摘される方をたくさん見かけます。これはこれで確かに追及に値する発言でしょう。なにしろあの在特会らも鴬谷他で同じような発想に基づく街宣を行なっており、「首相の頭の中身が排外デモ集団と同じ?」という疑惑*2があるからです。しかしながら、橋下・大阪市長を筆頭に日本軍「慰安婦」問題に関してひたすら「強制連行」にだけ執着する者は、言葉遣いに上品・下品の違いこそあれ、すべて西村「強姦 してもなんにも罰せられんのやったら、オレらみんな強姦魔」真悟と基本的な発想を共有しているのだ、ということをここでは指摘しておきたいと思います。
「日本が問題視されているのは強制連行についてだ」「ゆえに強制連行さえ否定できればよい」……こういう「慰安婦」問題否認論者のロジックを支えているのは、ある人が売春を始めるようになった経緯にのみ倫理的な関心を集中させる発想です。ある人が、誰かに強制されたり騙されて「堕落させられた」というなら彼らは同情も感じ怒りも感じますが、しかしその怒りは直接強制し、直接騙した者にしか向かないのです。「最終的に誰が買っているのか」も、「人身売買の背景にある構造的な女性の貧困」も彼らの関心を惹きません。「女衒の多くは朝鮮人だった」と言えば日本軍を免罪できると思っている人間は全て、西村「強姦 してもなんにも罰せられんのやったら、オレらみんな強姦魔」真悟の仲間なのです。

*1:週刊プレイボーイ』、1999年11月2日号

*2:私個人は「疑惑」なんて持ってません。確信を持ってます。