慰安所従業員の日記、発掘

ビルマシンガポール慰安所で働いていた朝鮮人男性の日記が発掘された、との記事です。おそらくこうした新資料の発見も、国際社会における「慰安婦」問題への関心の高まりが背景にあるのでしょうから、何十年前のことであれとりあげられるべき問題はとりあげられねばならないのだ、と改めて思います。
ところで、日記の発見者である安秉直・ソウル大名誉教授の「1990年代初め、慰安婦支援団体が実施する調査活動などを手伝った。だが、「強制連行」と最初から決めつけて証言集めをするような形だったので、運動からは手を引いた」というコメントを読んで大喜びする右派がいるかもしれませんが、それはぬか喜びというものです。旧軍「慰安婦」問題にある程度コミットしている者にとって、安秉直名誉教授は周知の人物だからです。むしろ、「ニューライト」を自称する彼ですら「慰安婦募集が、日本政府の政策に基づく戦時動員の一環だった」「所属部隊の管理を受けており、旧日本軍の編成の末端に位置づけられていた」「ビルマのような最前線では(……)「性的奴隷状態」にあったと言える」と認識していることをよく噛みしめるべきでしょう。朝鮮半島においては(狭義の)強制連行は“必要でなかった”だろうという認識についても、日本側研究者のそれと別に齟齬があるわけではありません。