NNNドキュメント'13 「死してなお… 忘れられた兵士の遺骨」(追記あり)

大阪の陸軍墓地に収められた兵士の遺骨の身元を突き止める努力とその成果について、今年の8月15日に報じられていました。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.yomiuri.co.jp/national/news/20130814-OYT1T00671.htm
今晩深夜放送の「NNNドキュメント'13」ではこの遺骨がとりあげられます。

太平洋戦争開戦から72年。今も何万という兵士らの遺骨が眠り続けている場所がある。戦時中、全国に次々と建設された「忠霊塔」(納骨堂)だ。そのひとつ、大阪市の「旧真田山陸軍墓地」には5千の墓石と納骨堂があり、昭和の戦争で亡くなった8千あまりの兵士の骨壷が当時そのままに残されている。納骨堂は当時の陸軍が深く関与し建設されたが、戦後、国がその管理を事実上放棄、遺骨の存在は忘れ去られていた。真田山では市民団体による調査でようやくその内容が判明、遺族も知らないまま兵士らの遺骨が放置されてきた実態が明らかに。見えてきたのはシンボリックな建物に遺骨を納め「忠霊」と崇めることで、兵士らの死を国威発揚に利用した国の姿だった。
http://www.ntv.co.jp/document/


遺骨の見つかった戦死者の一人(薬剤中尉)の弟さんに1998年に取材した際のフッテージが使われているなど、地方局(読売テレビの制作)とはいえマスメディアが蓄積してきた情報の量が垣間見える番組でした。陸軍墓地は全国に80カ所以上残っており、そのうち40カ所あまりには真田山同様に骨壺を納める施設があるが、全体で何体分の遺骨があるのかは調査されたことすらない、とのことです。ヤスクニや復活した恩給などと比較するとき、戦後処理の歪さを痛感させるデータ(の不在)です。
ブクマで書きましたが今度の土曜日(14日)の ETV特集で「忘れられた引き揚げ者〜終戦直後・北朝鮮の日本人〜」が放送されます。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2013/1214.html
先週の「戦場で書く〜作家 火野葦平の戦争〜」が8月に放送されたNスペ「従軍作家たちの戦争」の再編集版だったように、今週の「忘れられた引き揚げ者」も8月のNスペ「知られざる脱出劇〜北朝鮮・引き揚げの真実〜」の再編集版のようです。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0812/
というわけで、あわてて録画しておいた「知られざる脱出劇」も見ました。ETV特集の予告を見るかぎり、やはり新しいコンテンツが付け加わるようです。これを見てから改めて感想は書くとして、一番印象的だったことを一点だけ。独力で38度線を越えようとした一行は、途中で同じように脱出を試みて力つきた人々の遺体を多数見かけたそうです。ここにもまた「白骨街道」が延びていたのだな、と。