「ほがらかな話であります」

早川タダノリ氏の『「愛国」の技法: 神国日本の愛のかたち』(青弓社)の、鹿児島市草牟田尋常小学校の副教材をとりあげた項の写真キャプションに、同書で「百人斬り」が「血わき、肉をどるやうな、ほがらかな話であります」と紹介されているとの指摘があった。なるほど鹿児島は野田少尉の地元、彼が「実は据えもの斬りだった」と明かす講演をしたのも鹿児島の(別の)小学校だったな、と思って、1938年刊の『軍国に咲いた花』を近代デジタルライブラリーで探したら、ありました。
中身は当時の東京日日新聞の記事を要約したものでとりたてて新情報はありませんが、やはり「その一人が鹿児島縣出身の野田毅中尉だから、ゆくわいになるぢやありませんか」と、地元の英雄を讃える書きぶりになっている。これが小学生向けの教材として使われていた時代からまだ75年ほどしかたっていない、ということを忘れないようにしたい。