「慰安所」関連資料の隠滅について

もう先月のことなんですが、こんなツイートを見かけまして。

一体何をどう勘違いすれば敗戦時に旧軍が公文書を隠滅したことについて「半信半疑」になれるのかさっぱりわからないんですが、まあそれはおくとして。
公文書廃棄の命令は当然、可能なら(証拠が残らないよう)口頭で伝えられたわけですが、あいにくとアジア・太平洋戦線の全域にわたってそうするわけにもいきませんでしたから、暗号電文で命令が伝えられたケースも存在しています。そして連合軍によって解読された電文の翻訳がアメリカやイギリスの公文書館で公開されています。そうした電文が以下で紹介されています。

  • 林博史、「公文書・天皇関係書類の廃棄と『慰安婦』隠し――日本軍電報の暗号解読資料」、『季刊 戦争責任研究』、第63号(2009年春季号)

慰安所」制度と直接関わりそうなものは2つの類型に分類できます。一つは経理関係ないし医療関係の文書を処分するように、との命令です。もう一つが「慰安婦」という身分の隠滅に関する指示です。例えば、第一南遣艦隊司令長官から第11・13・15特別根拠地隊に送られた暗号電文は、次のように指示しています。

 シンガポールの海軍“慰安施設 consolation establishment”に関して、八月一日付で日本人従業員は海軍第一〇一病院で雇用されることとなった。多くの少女たちが補助看護婦とされた。これと同様の措置をとるようにせよ。