2018夏、戦争関連番組についての雑感

731部隊の真実〜エリート医学者と人体実験〜」が放送された昨年夏に比べれば、全体としてまた被害体験に偏したという印象は否めません。まあ昨夏とて「731部隊の真実」以外に加害の側面をしっかりとりあげた番組があったか、といえば大してないわけですが。
そのなかで ETV特集「隠されたトラウマ〜精神障害兵士8000人の記録〜」は、あくまで戦争神経症の背景としての扱いではあったものの、華北での残虐行為の蔓延を示唆する内容になっており、ツイッターなど見ていてもこの夏一番反響が大きい番組だったように感じます。番組に登場した清水寛さんらの研究については過去にこのブログでも言及したことがありました。
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20070303/p1
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20070324/p1
他には NHK スペシャルの「祖父が見た戦場〜ルソン島の戦い 20万人の最期〜」が日本軍による民間人虐殺に少し触れていましたが、2007年放送の「マニラ市街戦〜死者12万焦土への1ヶ月〜」には及びませんでした。「父を捜して〜日系オランダ人 終わらない戦争〜」も果たされてこなかった戦後責任に関わる内容でしたが、これは昨年 BS1 で放送されていたものです。


「加害」の側面に限定せずに評価するなら、「“駅の子”の闘い 〜語り始めた戦争孤児〜」、NHKスペシャ「広島 残された問い〜被爆二世たちの戦後〜」はよかったと思います。また NHK の場合、「バリバラ」や「ハートネットTV」などの枠で戦時におけるマイノリティの問題をとりあげるのも貴重な企画だと思います。


民放ではやはり NNNドキュメント'18 の「「ただいま」と言えない...〜原爆供養塔に眠る814人〜 」が地味ながら大切なテーマをとりあげていたと思います。他方、ひどかったのが朝日放送系列の「ザ・スクープ」です。8月12日放送の「ザ・スクープスペシャル 終戦企画 真珠湾攻撃77年目の真実 ルーズベルトは知っていた!?〜日米ソの壮絶“スパイ戦争”〜」は、そのタイトルだけで志の低さがわかります。真珠湾攻撃に先立つ特殊潜航艇の撃沈――とはいってもそれはすでにマレー上陸作戦が始まったあとのことですが――をいまさら新発見であるかのごとくとりあげるなど、ドキュメンタリーというよりバラエティ番組の水準です。「ルーズベルト研究が専門」というテロップと共に登場させたダニエル・マルティネス氏があたかもルーズベルト陰謀説を肯定しているかのように編集していましたが、陰謀説に対するマルチネス氏の見解はこちらで紹介されている通りです。始まって十数秒で「あっ、こりゃだめだ」と直感しましたが、最後まで見てもやはりだめでした。