今年の9・18、夏の戦争番組

9月22日朝の時点において、Google ニュースで「柳条湖事件」を検索した結果の上位はこんな具合でした。

柳条湖事件」検索結果

例によって中国での記念行事を伝える記事がならんでいます。今年は共同通信が配信した「満州事変、加害の歴史忘れない」という記事があるので例年よりはマシではありますが。

 

しんぶん赤旗 日曜版』の9月18日号には「今夏の終戦番組振り返る」というテレビ評が掲載されていました。「今年の夏は「子どもの目から見た」戦争をテーマとする放送が印象に残った」として、視覚障害者の戦争体験をとりあげたハートネットTVの「戦争が聴こえる」、戦争孤児をとりあげたETV特集「ずっと、探し続けて〜“混血孤児”とよばれた子どもたち〜」、BS1スペシャル「沖縄戦争孤児」などがあげられていました。いずれも戦争に関するナラティヴにおいては長らく周辺的な位置に置かれていたテーマです。

しかしあいかわらず加害の側面をきちんととりあげた番組はわずかでした。NNNドキュメント'22 の「侵略リピート」(8月14日放送)は近藤一さんら加害体験を語る証言者を登場させていましたが、新規の取材ではなく過去の取材の素材を再編集したように見受けられました(もっとも、直接の体験者が残り少なくなる中、既存のフッテージを見直して新たな文脈とともに提示することも今後は考えられるべきでしょう)。

「加害の側面を伝えているか?」という観点からもっとも評価できるのは8月20日放送のBS1スペシャル「戦禍のなかの僧侶たち〜浄土真宗本願寺派と戦争〜」でしょう。

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南京攻略戦には触れながら南京大虐殺には触れないなどの限界はありましたが、教団の戦争協力に向き合う僧侶たちをとりあげたのは意義のあることでしょう。