2020年夏、加害への眼差し(追記あり)
アジア・太平洋戦争に関する記事や番組が増える季節になりましたが、毎年のことながらその大半は“日本人の悲惨な体験”を扱ったものです。そのなかで日本軍による被害体験を扱ったものとして目についたものは泰緬鉄道に関するものでした。
一つは東京新聞によるイギリス人元捕虜へのインタビュー記事です。本日の時点で2回目までが掲載されています。
-100歳元英兵が語る ジャングルに散った親友〈死の鉄道〉(1)」
-生ける骸骨の集団、腐敗臭にまみれた病人小屋〈死の鉄道〉(2)」
もう一つは FNNプライムオンラインに掲載された「終戦から75年…旧日本軍が建設した“死の鉄道” 悲劇の現場で働いたタイ人とマレーシア人の証言」です。二人の証言者のうちタイ人のトンプロムさんは自身が虐待をうけたわけではありませんが、現場で「数え切れないほどの数」の捕虜が亡くなっているのを目撃した、とはなしています。
16日追記
『朝日新聞』がまたしても泰緬鉄道建設を体験した捕虜(オーストラリア軍)のインタビューを掲載しています。
東京新聞の連載も4回目に達しました。
-敵ではなかった日本兵「あの戦争に勝者はいない」<死の鉄道>(3)
-英国民から「忘れられた軍隊」 今、彼らが語る理由 <死の鉄道>(4)
日本軍による戦争被害の例として有名であるとはいえ、単なる偶然でしょうかね。
それはさておき、東京新聞が取材したバート・ウォーンさん(第3回)と朝日新聞が取材したキース・ファウラーさんが、ともに妻に先立たれてから捕虜体験を語るようになった、と語っていることは示唆的です。東京新聞の連載第4回でも、「戦後50年の節目や妻の死、退職などをきっかけ」にアジア戦線でのイギリス人元捕虜が口を開くようになった、とされています。