「前編・テニアン島」「後編・サイパン島」の二部からなるドキュメンタリー。
民間人の犠牲者を多数だした戦場が題材ということで「加害」に関する話題が出るとは期待していなかったのだが、サイパン島で妹を亡くした女性がチャモロ人のガイドに「ごめんなさいね」と頭を下げる。
戦火に巻き込まれた先住民もまた多く命を落としたこと(ガイドの女性も遺族)をこの女性は忘れていなかったのだ。
この女性はサイパン島が日本人の「慰霊の島」になっていることにも批判的な目を向ける。ある現地青年から慰霊碑が林立する岬を「亡霊岬」と言われたことを引き合いに出し、「年季が来たら〔慰霊碑を〕除去すべきじゃないかなと思うの」とまで言う。
現地の人々の戦争体験を聞き取った書籍も紹介されていた。
タイトルの『私たちは涙まで飲んだ』は激しい渇きを体験したことを意味している。ディレクターの名前を記憶しておくことにした。