4月29日に天皇制に関する wam セミナーが開催されます。講師は「大元帥」としての昭和天皇に関する研究の第一人者、山田朗さんです。
オンラインセミナー「ラムザイヤー教授の歴史修正主義を批判する」
『産経新聞』が大喜びで紹介したマーク・ラムザイヤーの「太平洋戦争における性行為契約」。しかしこれが根拠のない主張や引用文献の恣意的な利用、先行研究の無視といった手続き上の問題点を多数抱えていると批判されていることは皆さんご存知のことでしょう。
いまのところ右派からのまとまった反論らしきものは「歴史認識問題研究会」のサイトに掲載された、西岡力による「慰安問題に関するラムザイヤー教授論文撤回を求める経済学者声明の事実関係の誤りについて」だけです。しかしタイトルを見ればわかるように、ラムザイヤーの主張を正面から擁護すると言うよりも「経済学者声明」への批判に重きが置かれています。「性奴隷」という擁護への反論は例によって「公娼制」を引き合いに出すもので、公娼制が当時においても「事実上の奴隷制度」と批判されていたことは相変わらず無視されています。
さて明日14日、Fight For Justice 主催のオンラインセミナー「ラムザイヤー教授の歴史修正主義を批判する」が開催されます。
これに先立ってFight for Justice(日本軍「慰安婦」問題webサイト制作委員会)/歴史学研究会/歴史科学協議/歴史教育者協議会が緊急声明「新たな装いで現れた日本軍「慰安婦」否定論を批判する」を発しました。
東京大空襲関連記事
2日ほど遅れてしまいましたが、東京大空襲に関連した新聞記事で目に止まったものを備忘も兼ねてご紹介いたします。
-朝日新聞DIGITAL 2021年2月23日 「(私の視点)空襲被害者への援護 国会は「受忍論」と決別を 中山武敏」(archive)
「受忍論」は直接的には日本国民の戦争被害の救済を阻んで来たわけですが、わたしたちがこの論理を乗り越える政権を生み出せなかったことの影響はもっと広範囲に及んでいると思います。他国の戦争被害者からの補償要求に応えようとする意見が多数派にならないのも、東電のように市民に甚大な被害を与えた企業が不誠実な態度を取り続けることが可能なのも、新型コロナ対策で政府が責任感にかける振る舞いを続けることができるのも、わたしたちが受忍論を「受忍」してきてしまったからではないか……と思えるのです。
-東京新聞 2021年3月6日 「【動画】孤児たちの闘い~東京大空襲~ 戦争孤児と関係者の証言集」
1945年の3月10日、東京の下町一帯を火の海にした東京大空襲。そこで両親ら肉親を失い戦争孤児となりながらも生き抜いてきた方々に、当時の苦労やつらい思い出、そして後世に伝えていくべき貴重な証言をうかがいました。(インタビューは2019年1~2月)
8人の方のインタビューが公開されています。
-東京新聞 2021年3月10日 「東京大空襲の証言ビデオ 20年以上放置 300人超の証言が封印の恐れ 都平和祈念館計画凍結で」(archive)
東京都が記録した東京大空襲など戦争体験の証言ビデオ300本以上が倉庫に放置され、活用されない状態が20年以上続いている。当初展示予定だった「都平和祈念館(仮称)」の建設計画は凍結。都は別の方法での公開には「本人同意が必要」とする一方、意向確認は進めていない。10日で大空襲から76年。証言者が高齢化する中、「無責任」と批判の声が上がる。(岡本太)
祈念館計画が頓挫した経緯は簡単にしか書かれていませんが、想像がつくように右派の横やりによるものです。妨害の中心にいたのは古賀俊昭、土屋敬之、そして田代博嗣という3人の都議。そう、七生養護学校の性教育実践にクレームをつけバッシングをした極右トリオです。右翼というのはアジア太平洋戦争のロンダリングのためなら同胞の戦争被害の継承のための事業など、後ろ足で砂をかけて平気な連中である、ということがよくわかります。
『中国戦線、ある日本人兵士の日記』
-小林太郎(笠原十九司、吉田裕編・解説)『中国戦線、ある日本人兵士の日記 1937年8月〜1939年8月 侵略と加害の日常』、新日本出版社、2021年2月
2015年10月4日号の『しんぶん赤旗 日曜版』に「遺族が公開 虐殺生々しく 上等兵の日誌」と出して報じられた旧日本陸軍第16師団所属の兵士の日記が新日本出版社から刊行されました。笠原十九司氏による詳細な解説が付されており、日中戦争をミクロな視点とマクロな視点で学ぶことができます。さらに日記の主が撮影した写真やスケッチが収録されているのですが、編者の一人吉田裕氏による「あとがき」によれば「本人が撮影した多数の写真が残されていること、その写真がほぼ時系列に従って整理されている」という点で、数ある従軍日記の中でも「際立った特徴」を持つ、とされています。
内容については今後折に触れて紹介させていただくつもりでおります。
Fight for Justice緊急オンライン・セミナー
第32軍留守名簿に「慰安婦」
-沖縄タイムス 2021年1月7日 旧日本軍の司令部に「慰安婦」 沖縄大学の研究員、裏付ける資料を新たに発見
第32軍司令部の留守名簿に軍「慰安婦」と見られる女性が「特殊軍属」として記載されていたことが明らかになった、という今年はじめのニュースです。ちょっと気になるのが記事に引用されている発見者のコメントです。
沖本さんは「この名簿から『慰安婦』を軍隊が紛れもなく管理していたことが分かる証拠になる。名簿の無い朝鮮人や沖縄関係の慰安婦もいる。32軍司令部の公開と合わせて研究が進んでくれたら」と話した。
一般の読者に史料の意味を伝えるのが必ずしも容易でないのはわかりますが、これではあたかも「軍が「慰安婦」を管理していたか否か」がいまだに争点となっているかのように受け取られかねません。そのような地点はもう四半世紀も前に通り過ぎたはずです。
2020年12月13日の日本メディア
今年もこの体たらくです。