半藤一利の『昭和史探索』
青狐さんのこのエントリに呼応して。ちくま学芸文庫から半藤一利編著、『昭和史探索 一九二六―四五』全6巻が刊行中。現在は第2巻までが発売中で、期間でいえば昭和天皇の即位から国際連盟脱退、滝川事件のあたりまで、ということになる。
このシリーズの特徴は半藤氏の解説の後に、その事件に関連する当時の資料が収録されていること。いわゆる「通史」スタイルの著作だと各資料のキモとなる部分だけが引用されることが多いが、本シリーズでは長めに引用されており、どのような文脈の中で出てくる文言であるのかが分かりやすくなっている。本シリーズに収録されている資料があくまで半藤氏のフィルターをかけられたものだということ、半藤氏自身の著作にせよ現代史家の研究書にせよ、ここに収録されていない膨大な資料を背景として成立していること、この2点を念頭において読むことは必要だろうが。青狐さんご推薦の本を読んだ後の一つの選択肢として。