A級戦犯合祀と厚生省

NIKKEI NET 3月28日

A級戦犯合祀、厚生省と靖国神社が69年に確認


 靖国神社A級戦犯の合祀(ごうし)について、1969年1月に厚生省(当時)と開いた検討会で「合祀可」と確認していたことが、国立国会図書館が28日公表した「新編 靖国神社問題資料集」で明らかになった。検討会は「外部発表は避ける」としており、世論に配慮してひそかに合祀しようとしたとみられる。


 資料集は靖国神社厚生労働省などの未公表文書を集めており、戦後、合祀者の名簿作成作業を担った厚生省引揚援護局(後に援護局)と靖国神社側が合祀基準などを巡って議論を繰り返していたことが分かる。
(後略)


NIKKEI NET 3月29日

A級戦犯合祀「神社側の判断」・首相


安倍晋三首相は29日昼、靖国神社と旧厚生省がA級戦犯などの合祀(ごうし)を巡り定期会合を開いていたことに関して「合祀を行ったのは神社で、厚生省は情報を求められて提供したということじゃないか」と述べ、合祀は神社側の判断で国は主導していないと強調した。同時に政教分離原則との関係について「問題ない」と語り、憲法違反にはならないとの認識を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
(後略)


他方、1971年に厚生省が「祭神名票」を取り消していた、との報道もあった。

ところが、上杉氏が発掘した文書によれば、昭和46年に厚生省が「靖国神社合祀事務協力」を一方的に打ち切っていた、というのである。恩給法・援護法にまつわる通知のなかに組み入れ、ことばもぼかすことによりカモフラージュされ、「すぐには判明できないように整えられていた」、という。上杉氏は、靖国神社合祀事務協力が憲法政経分離条項に抵触することを危惧した厚生官僚が、あとから事態を糊塗しようとしたのであろう、としている。


要するに「靖国神社は単なる一宗教法人」という政府の建て前と、「英霊は靖国神社が私的に認定するのではなく国家の認定」という靖国神社の建て前とが衝突し、政府内でも建て前と靖国の「建て前」を認めたい本音との間で揺らぎがあったということだろう。