世の中を「単純にながめて」いるのは…?

http://blog.livedoor.jp/junks1/archives/51001434.html#comments

35. Posted by やりちゃん 2007年05月22日 05:21


南京虐殺」を否定すると、日本が世界から孤立するとか騒いでいるのがいるけど、何だかいじらしくなってくるね。そんなに世の中を単純に眺めていられると悩みも少なくていいだろうな。


アメリカは、何年もかけて日本の金融市場で自由に動ける仕掛け作りをしてきた。企業のM&Aが、かつてない程活発化しているが、必ずといっていいほど投資ファンドが関与している。不祥事を起こして退場宣告を受けたシティグループは、日興CGのTBOを成功させ、再進出の足元を固めたばかりだ。


この時期に、南京真理教の諸君が言うように「日本と断絶しよう」という議員がいたとしても「南京ホワット?」「ユー、インセイン!!」ということになり相手にされないだろう。オリンピックや万博を控えた中国にしても同じことだ。これらの金流れを止める力は、どの国の政府にも無い。
(…)

ふ〜ん、そうですか…。


「制作趣旨」

 南京陥落70周年の今年 (平成19年・2007年)、米国サンダンス映画祭にて、南京「大虐殺」映画が公開されました。  さらに、中国、カナダ、米国等で計7本の南京「大虐殺」映画製作が予定され、全世界で公開されると言われています。歴史的事実に反し、誤った歴史認識に基づくこのような反日プロパガンダ映画によって、南京「大虐殺」なる歴史の捏造が「真実」として、世界の共通認識とされる恐れがあります。また、そこから生まれる反日、侮日意識が、同盟国の米国だけでなく、世界中の人々に定着しかねません。

そういえば、「南京真理教」ってネーミングはむしろこちらの方にしっくり来そうです。なんせ映画のタイトルが「南京の真実(仮題)」ですから。


他の人の発言にまで責任はもてませんが、私自身は「日本が世界から孤立する」から云々というロジックはほとんど使いませんね。「いい加減なことを吹いてまわると世界で恥をかく」といういい方はよくしますが。理由は3つあって、第一にこの投稿者氏が正しく(!)認識しているように、いまの日本は簡単に孤立してしまうにはあまりに影響力がありすぎる、ということです。しかしながら、裏を返せば、アメリカ、中国、ヨーロッパおよびアジア各国で「日本軍は1937年に南京で大虐殺を行なった」「20万人(あるいは30万人、あるいは40万人)を虐殺した」という認識がこの60年一般的だったにもかかわらず、日本は「孤立」していないわけです。30年ほど前に日本でも『ルーツ』が放映され話題になりましたが*1、だからといって「アメリカとは断交しよう」などと言い出す国がなかったのと同じことです。もちろん、「アメリカ人は自虐的だ」と非難する人も日本にはいなかったでしょう。よくも悪くも*2「それはそれ、これはこれ」という態度が一般的なのが現実なのです。
よくしたり顔で「すぐ謝るのは日本の悪い癖、国際社会では謝罪したら負け」などと言う人がいますが、別に国際社会で謝罪したことがあるのは日本とドイツだけじゃありません。「責任の所在がはっきりするまでは安易に謝罪する必要はない」ということならよくわかりますが、第三者から見れば責任の所在は明らかなのにシラをきりつづけていたっていいことはない、というのは彼らが好んでひきあいに出す彼の国をみても明白でしょう。


第二の理由は、私が南京事件にコミットした理由の一つが、それ以前からある疑似科学への関心の延長である、ということです。つまり私は「否定論がいかにして誤った結論を導き出すか」というところに強い関心をもっており、またそれを第一にとりあげてもいるので、「日本が世界から孤立する」からという理由付けは必要ない、ということです。
第三に、これが本来はもっとも重要な理由であるべきものですが、戦争犯罪を考える際に被害者や生存者のパースペクティヴを忘れてはならない、ということです。このパースペクティヴから見れば「日本が世界から孤立する」から事実を認めよ、という主張は単なる方便としての意味しかもちません。方便は直ちに否定されるべきでないにしても、声高に語るようなものでもないでしょう。

*1:日本で放映されたのがいつごろだったか確認しようと思ってあちこち見ていると、アレックス・ヘイリーについてのWikipediaの記述に興味深いところがあった。伊勢崎のジャンヌダルク理論によれば、アメリカの奴隷制もなかったということが言えてしまいそうである。

*2:「よくも」というのは、国家が過去に行なったことが理由で現在の国民が受ける不利益は、合理的な根拠があるものに限られるべきであるからです。「悪くも」というのは、アメリカのでっちあげ戦争やスーダンへの中国の関与を止めることが非常に困難だからです。