「心に刻む集会」での野中広務氏の講演

毎日新聞、8月15日夕刊(大阪)、「終戦記念日:62回目 終わらせない戦後」

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 ◇「傷跡修復が責務」野中元幹事長、南京虐殺集会で語る
 「第21回アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会」(同集会実行委員会主催)が15日、大阪市中央区のドーンセンターであり、約350人が参加した。南京虐殺の遺族らが体験を語り、現地を3回訪れた元自民党幹事長の野中広務さん(81)が「戦後62年たっても、愚かな戦争の傷跡が残っている。その修復をしなくては時代を生きた人間として責任を果たせない」と語った。
 野中さんが、南京虐殺の被害者と一緒に集会で話すのは初めてという。冒頭、南京虐殺にかかわった旧日本兵の男性と現地を訪れた際、男性が「上官の命令で、女性や子どもたちを目をつぶって殺した」と話し、震えて動けなくなったなどと話した。また、一部の日本の歴史家らの「南京虐殺はなかった」との主張に対し、「私は現地に行き、虐殺にかかわった人の経験を聞いている」として批判した。
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野中氏は地盤が京都だから、第16師団に所属していた将兵と面識があってもなるほど不思議ではない。捕虜の殺害、非戦闘員でも男性の殺害に比べると女性や子どもの殺害体験はなかなか語られない傾向があるだけに、貴重な証言だ。殺害それ自体については「伝聞」とはいえ、フラッシュバックを起こした場面には野中氏自身が立ち会っているわけで、単なる伝聞にはとどまらない意味をもつ。