来週の戦争関連番組放送予定
来週はNHKで「A級戦犯は何を語ったのか〜東京裁判・尋問調書より〜」、「パール判事は何を問いかけたのか?東京裁判 知られざる攻防?」などの再放送、BS特集「民衆が語る中国・激動の時代」全4回の再放送(をNHK総合で)がありますが、デジタル放送が受信可能なら「証言記録 兵士たちの戦争」の第4回〜第7回をぜひご覧いただきたいと思います。題材となっているのは敦賀歩兵第119連隊(ビルマ)、静岡歩兵第34連隊(大陸打通作戦)、岡山歩兵第10連隊(フィリピン)、青森野砲兵第107連隊(満ソ国境)です。大陸打通作戦に関しては故藤原彰氏によるものを含めいくつかの従軍記を当ブログでもとりあげました。
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20070710/p1
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20060805/p2
http://homepage.mac.com/biogon_21/iblog/B1604743443/C673208941/E20060801224244/index.html
日本軍にとっての悲惨な戦場といえばガダルカナル島やニューギニア、インパールなどの名前が誰の頭にも浮かぶでしょうが、従軍将兵自身が「連戦連勝」という記憶を往々にしてもっている中国戦線でも実はフィリピン戦線に次ぐ死者が出ています(もちろん中国戦線の兵力自体が膨大だったので当然とも言えますが)。歩兵第34連隊の場合も約半数が犠牲になったといいます(番組ブログより)。
もうひとつ。戦争犯罪といえば誰もがまずは非戦闘員の殺害、性暴力、捕虜殺害、ABC兵器などを思い浮かべると思います。もちろん私もそうでした。これらに比べると略奪については「モノは取り返しがつくから」という思いが少なからずあるように思います。そのためか、参戦将兵も略奪については比較的率直に記録し、回想することが多いようです。福岡で編制された連隊の合同戦史『福岡連隊』には、杭州湾に上陸後民家の床下から金の延べ棒を発見して“徴発”したことが、まるでよい想い出であるかのごとく平然と書かれていたりします。しかし大陸打通作戦の場合、50万もの大軍がろくに補給も受けず現地で徴発をしながら行軍していったわけです。これがどれ程の物質的な損害をもたらしうるか…ちょっと想像を絶しています。食料を奪われ、場合によっては生活基盤を破壊されたことによって餓死・病死したケースだってあったと思われます。