「証言記録 兵士たちの戦争」東部ニューギニア編(追記あり)

  • 3月28日 午後7:00〜午後7:43 「証言記録 兵士たちの戦争「東部ニューギニア 絶望の密林戦〜宇都宮239連隊〜」

太平洋戦争で他に例のない3年に及ぶ長い戦闘が続けられた東部ニューギニア戦線。補給が断絶し、飢餓と病に苦しみながら生き抜いた将兵17人の64年目の証言を記録する

「証言記録 兵士たちの戦争」はNHKならではの企画で欠かさず見ているのだが、今回の「絶望の密林戦」というサブタイトルを見てこれまでも漠然と感じていた違和感を再び感じた。過去のサブタイトルをあたってみると「悲劇の作戦」「玉砕」「最期」「死の転進」…と、「いかにも」な語句がならんでいる。もちろん東部ニューギニアの戦いについて語るときに「絶望」ということばは欠かせないじゃないかと云われればその通りなのだが、実際に(編集されたものとはいえ)生存者の証言を聞くということは、なによりも体験の多様さを一言に集約してしまわないことだから。まあ文字数に制約を受けるサブタイトルに文句を付けるのもなんなのだが。


追記:兵士が主体で下士官がちらほら、将校はせいぜい小隊長クラスというのが通例のこのシリーズだが、今回は取材対象者に将校が多いのが目につく。きちんと数えたりはしなかったが将校と下士官が殆どで兵士の方が少ない。第18軍参謀、第41師団司令部勤務の将校、大隊副官、そして中隊長が数名。厳しい飢餓状態に陥った戦線における階級ごとの生存率の違いが反映しているのかもしれない。
参考:
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20090305/p1#c
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20070505/p2
またニューギニア戦線では将校に率いられた組織的な投降という他にほとんど例のない事例があったことについてはいくつかの文献で読んだことがあったが、その当事者(兵士)も探し出してインタビューしている。顔が映らぬように撮影されたインタビューでは戦友会、慰霊会などに一度も出席したことがないと語られる(死者への“申し訳なさ”から)。他方、第18軍の元参謀将校は「聞いたことがない」と前置きしたうえで集団投降が起きたのは「残念」だと語る。なんという呪縛の強さか。