NHK「証言記録 従軍看護婦が見た戦争」

11月15日に放映された「証言記録」シリーズの「従軍看護婦が見た戦争」。BS hi での放映だったので事前にエントリにはしませんでしたが、過去の例をふまえればいずれ地上波でも再放送される可能性が十分ありますので、機会があれば是非ご覧ください。
医薬品不足でなにもできなかった体験、“足手まとい”になる負傷兵を命令により殺してゆく体験、集団「自決」、敗戦後の徴用など、類型としては聞いたことのあるはなしが多いけれども、「見捨てないでくれ」という声から文字通りに耳をふさいで退却した女性(いまでもその声は耳に残っているという)や集団「自決」の生存者(銃剣で胸を2度刺されたが急所をはずれていたため生き残った)の肉声による証言を聞くことができる。殺すことを任務として戦場に行った兵士たちと違って「助ける」つもりで戦地に赴いた人びとの体験である。病院船勤務だった元看護婦の、傷病兵の1割ほどは精神を病んでいたという証言(「俺は(ひとを)殺した」と叫んで暴れる兵士もいたという)は、度々述べてきたように、戦争神経症の問題をきちんととりあげてこなかった戦後の日本の戦争認識の欠落を改めて思い起こさせた。