『週刊新潮』も産経を後追い

『週刊新潮』の1月22日号は「「韓国」は在韓米軍に「慰安婦」を提供していた!」と題する記事を掲載して、産経新聞の後追いをしています。といっても内容はあんまりなくて、報道された事実をやや詳しくとりあげた後秦郁彦に吉田証言の悪口を言わせ、韓国政府の欺瞞を指摘する韓国人記者の声を紹介し、朝日新聞ニューヨーク・タイムズの報道を伝えていないと揶揄し、先の韓国人記者に慰安婦についての記事を書いてもらってはどうか、と結んでいます。
産経にせよ『週刊新潮』にせよ今回のニューヨーク・タイムズの報道、およびそれが報じた韓国での問題提起が自分たちの主張に有利にはたらくと考えているのでしょうか? どう考えても二律背反に陥るのは「慰安所制度は女性に対する人権侵害ではなかった」と主張している側なんですが。大日本帝国は悪いことをしなかった、と言いたいのなら韓国政府および在韓米軍がやったことも免罪せざるを得ない。韓国政府が売春を奨励し関与することで女性の人権を侵害したと言いたいのなら、日本軍の慰安所制度についても同じことを言わねばならないわけです。


ところで『週刊新潮』は朝日がこの問題をスルーしていると指摘していますが、すでに2002年の時点で朝鮮戦争当時の韓国軍の慰安所制度を朝日が報じていることを明らかにしてくれているひとがいます。ご参考までに。


追記:上記「憲法改正社」で私がこのエントリで書いたことが「デマ」であるといわれた(と判断した)ので次のようなコメントをしました。

Apeman 2009年01月16日(金)23時21分| URL | 編集
私の質問に対しては実質的に「イエス」と返答されたと理解したうえでコメントします。


私が(山下英愛氏の講演で得た情報として)書いたのは、
・韓国において
・90年頃まで
・米軍将兵が買春の対象としていた女性が「慰安婦」と呼ばれていた
ということです。
これに対してあなたが示したのは
・日本において(=朝日新聞が)
朝鮮戦争時のことについて
・当時を知る韓国人女性が「慰安婦」という語を用いて証言したことが報道されている
ということに過ぎません。この記事で「慰安婦」と呼ばれているのは2002年ないし1996年(金さんへのインタビュー当時)において米軍相手に売春をさせられていた女性ではなく、「朝鮮戦争時」に売春をさせられていた女性です。あなたが私の情報を「デマ」と呼ぶなら、90年頃以降も韓国では米軍将兵が買春の対象として「いる」(かつてしていた、ではなく)女性を「慰安婦」と呼ぶことが一般的であったことを示す必要があります。当然、その準備はしておられるわけですね?


ところであなたとしては、韓国版“慰安所”制度について、謝罪と補償が必要な国家による性暴力であると認識しておられるのでしょうか?

この最後の質問に対して「これに関しては、このエントリーのテーマである呼称問題とは離れますので、ご希望の方は別場所でおねがいします」との返答をもらったのですが、「別場所」とはどこなのかについて指定がなかったのでここで改めて質問しておくことにします。静流氏にはここのコメント欄で返答していただくことを希望します。ま、「別場所」でもいいんですけど。