長沼ナイキ訴訟の元地裁裁判官インタビュー

どうしんウェブ北海道新聞) 4月21日 「「長沼ナイキ」違憲判決から36年 当時の裁判長ら本出版」(魚拓

 「自衛隊憲法九条違反」との唯一の司法判断が下された、一九七三年の長沼ナイキ訴訟札幌地裁判決から三十六年。裁判長を務めた福島重雄さん(78)と研究者二人による編著「長沼事件 平賀書簡」(日本評論社)が二十二日に出版される。これまで多くを語らなかった福島さんへのインタビューや当時の日記を交え、違憲判決に至る流れや憲法と向き合う福島さんの心情などがつづられている。
(後略)

今日(30日)の朝日新聞朝刊がオピニオン欄で福島元裁判長のインタビューと日記の抜粋を掲載している。海軍兵学校78期という経歴の判決への影響についての質問に、「日本の軍隊が過去に何をしたのか、軍隊の存在は何のためにあるのか、そういったことを考えました」「あの戦争の時代を生きた人間として自分が特殊だったとは思いません」と答えている。興味深かったのは、当時参議院議員(自民)だった源田実・自衛隊元空幕長を証人として呼んだことについて、「源田さんは、質問をはぐらかすことなく、正面からまじめに答えていました。彼は誠実な、正直な方でした。信念のあるひとでした」と回想しているところ。また上級審で判決が覆ったことについては「控訴審はともかく、最高裁が私たちの判決をそのまま通すことはしないだろうと予測はしていました」とも。長年の沈黙を破った理由については次のように語っている。

 「こういう事件にあたったのは運命のようなものです。いろいろなことがあり、長沼事件は、あまりいい思い出ではありません。しかし、歴史に埋もれさせたままでいいとも思いません。何かまとめておくことが、後の人々のために私の義務のようにも思われ、とにかく自分なりにまとめてみました」