紙面に躍った流言飛語
みすず書房の『現代史資料(6) 関東大震災と朝鮮人』の「十一 全国主要地方紙流言記事」より。表記を一部現代風に改めたところがある。
9月4日の大阪朝日新聞。
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各地でも警戒されたし
警保局から各所へ無電
神戸に於ける某無線電信で三日傍受したところによると内務省警保局では朝鮮総督府、呉、佐世保領鎮守府並に舞鶴要港部司令官宛にて目下東京市内に於ける大混乱状態に附け込み、不逞鮮人の一派は随所に蜂起せんとするの模様あり、中には爆弾を持って市内を密行し、又石油缶を持ち運び混乱に紛れて大建築物に放火せんとするの模様あり、東京市内に於て極力警戒中であるが各地に於ても厳戒せられたしとあった。
9月4日の河北新報。
放火、強盗、強姦、略奪
驚くべき不逞鮮人暴行
(三日午後一時土浦発)二日夜より上野附近にて不逞鮮人多数強盗強姦略奪凄じく附近の井戸に毒を放ち各所に放火しつつあり日暮里に向い入京者を襲う為め人々は見つけ次第討殺しつつあり入京危険なり東京附近は今飢餓者のために徴発令発せられん。
9月6日の北海タイムス
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鮮人の暗号が判明したと全市に
伝えられ警戒の度は益々厳重になったが
丸にAの印は爆弾を投げる箇所
ヤの字は暗殺強盗
カの字は井戸に毒薬を投入
菱形は放火だと云われ夫々チョークで鮮人連が目標をするもので芝公園では避難民に対し貴重な水を呉れる者があったが夫には硫酸が混入され其為死亡したものがあった・・・・・・
殊に不逞鮮人の跋扈は言語道断で火災の半数以上は不逞鮮人の爆弾に遣られたのは事実である松坂屋前では手に爆弾を所持して居る鮮人が縛されて居たのを見受け帝大附近は火災に遣られたのより寧ろ爆弾に遣られたのが多い夫丈鮮人に対する市民の反感は頗る猛烈を極め鮮人と見ると一人も容赦せぬ気勢をみせ衝突は随所に行われ浅草では鮮人一味が避難民の荷物を略奪して行われた者が多い二日夜は五十人程の一隊が襲撃したが約二十人程捕われ鈴ヶ森には千五百人の不逞鮮人が陣取って居る附近の住民は在郷軍人警官等協力して警戒は物凄いと云われて居るが真偽は判明せぬ。
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現代でも、阪神淡路大震災の際に倒壊した家屋の地下から(北朝鮮製の)武器がみつかった、などという主張をする京大教授がいたりするので昔の新聞を笑えませんが。
なお、2003年に日弁連が当時の小泉首相に提出した勧告書に付属の報告書が、調査チームのメンバーであった弁護士のHPに転載されており閲覧することができます。
資料 関東大震災人権救済申立事件調査報告書 日弁連