ノモンハン事件70周年式典にロシア大統領が出席

時事ドットコム 2009/08/26 「第2次大戦見直しに反発=ノモンハン事件70周年−ロ大統領

 【モスクワ時事】ロシアのメドベージェフ大統領は26日、モンゴルの首都ウランバートルで1939年の満州モンゴル国境紛争、ノモンハン事件(ロシア側呼称「ハルハ河事件」)70周年記念行事に出席、第2次大戦の歴史の見直しを容認しない姿勢を強調した。
 インタファクス通信によると、メドベージェフ大統領は演説で、「戦いで日本の関東軍は壊滅的打撃を受けた」とし、同事件でのソ連側の勝利が第2次大戦全体の行方にも影響を与えたと指摘。その上で、「この勝利の意味を変更するような捏造(ねつぞう)は容認しない」と強調した。
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 ロシアの国家元首ノモンハン事件記念行事に参加するのは初めて。ロシア政府筋は「欧州で第2次大戦の歴史を見直す動きが出ているため、メドベージェフ大統領はノモンハン事件記念式典に参加し、ソ連の正当性を主張することを決めた」と述べた。
 今年は独ソ不可侵条約締結70周年にも当たり、欧州では同条約がナチス・ドイツポーランド攻撃を可能にしたとして、第2次大戦開戦へのソ連の責任を問う声が高まっている。欧州議会は条約が調印された8月23日を「ナチズムとスターリニズムの犠牲者追悼記念日」に指定することを提案、ロシアが猛反発していた。

この前日の25日にはモンゴル・ロシア両国の首脳が会談し「戦略パートナーシップ発展宣言」に調印しており、ロシアのアジア政策という観点からも注目すべきモンゴル訪問なのでしょうが、そのあたりは私の守備範囲ではないので・・・。
さて、ノモンハン事件における旧ソ連軍(およびモンゴル軍)の軍事行動については、基本的に*1モンゴル側が主張していた国境線を越えずに展開しているため、その正当性を主張するのにさしたる困難はないだろうが、ポーランド(の東半分)の軍事占領の方はまったく事情が違う。第二次世界大戦における旧ソ連の役割が両義的であったことは、いずれ(といっても時間はかかるでしょうが)ロシアも認めざるを得なくなるだろう。
また、8月27日の朝日新聞(大阪本社)朝刊が伝えるところによれば、この式典でモンゴルのエルベグドルジ大統領が「戦勝は主権と独立を守り確立する機会をモンゴルに与えてくれた」と語ったとのこと。こうした見方は田中克彦氏の『ノモンハン戦争 モンゴルと満洲国』(岩波新書)にも見られる(例えば205ページ)。ただ、ノモンハン事件でのモンゴル軍の犠牲者は日ソ両国に比べると軽微だったものの、スターリンによる粛清の犠牲者は多数にのぼる。これまた、ロシア社会が直面しなければならない負の歴史である。

*1:国境をこえて関東軍兵站基地への空爆を行なったりはしていますが。