プーチン露首相、独ソ不可侵条約についてポーランド紙に寄稿

asahi.com 2009年9月2日 「独ソ不可侵条約「仕方なかった」 プーチン首相が寄稿

【モスクワ=副島英樹】ロシアのプーチン首相は31日、第2次世界大戦開戦70周年行事に向けてポーランドのガゼータ・ブイボルチャ紙に論文を寄稿し、39年のモロトフ・リッベントロップ協定(独ソ不可侵条約)が大戦の唯一の引き金になったとする指摘に対し、「歴史の歪曲(わいきょく)」だと反論した。


 プーチン氏は、独ソ不可侵条約の前年に英仏がすでにドイツと融和政策をとったために、反ファシズムの共同戦線を張る望みがなくなったと主張。当時ノモンハン事件で日本軍との戦線も抱えていたソ連としては、ドイツとの不可侵条約はやむを得なかったとしている。


 そのうえで「現在の政治状況の必要性から歴史を修正する試みがある」として、旧ソ連バルト3国や東欧諸国など反ロ感情が強い国々がロシア批判のために歴史を利用しようとしていることを示唆し、反論した。一方で、独ソ不可侵条約の「不道徳性」についてはロシアも認識しているともしている。

ウェッブ版では省略されていますが、今朝の朝日新聞(大阪本社)に掲載された記事では、プーチン首相がカチンの森の虐殺に触れて「ポーランド人の痛みは分かる。我々はともにこの犯罪の犠牲者を記憶にとどめる」としていることを伝えています。
BBCのサイトには "Polish, Russian press welcome Putin gesture" という見出しに続けて次のようなリード文で始まる記事が掲載されています。

Russian Prime Minister Vladimir Putin's bid to reduce tension between his country and Poland - in the form of an article in a Polish newspaper - has been largely welcomed by some Polish commentators.

ただし、本文ではプーチンの発言が不十分("not enough")であるとするポーランド側の反応の方を多く伝えています。Times紙の "Vladimir Putin stirs tensions as World War II commemorated" はより厳しい論調で、"It was the day Vladimir Putin almost said sorry"(強調は引用者)としつつも、プーチンが34年のドイツ・ポーランド不可侵条約に言及したことを指摘して、ロシアの誠実さを期待したポーランド人が受け取ったのは歴史相対主義 hisitorical relativism だったとしています。