一人っ子政策と中国軍の将来

月に2回発行の The Asahi Shimbun Globe。その第25号(10月5日号)の特集は「中国、海軍大国への胎動」ということで、現在建造中の空母のはなしがメインなのだが、他方「中国が直面する課題、一人っ子政策のジレンマ」という見出しで次のような一節も。

 「中国は人口6億人を有する。仮に原水爆で半数が死んでも3億人が生き残り、何年かたてばまた6億人になる」
 1957年、国家主席毛沢東は米国の核攻撃を受けても中国は動じないとの決意を、ソ連フルシチョフ第1書記にこう語ったとされる。
 中国軍の強みは「人的資源」。今も陸上兵力は約160万人で世界最大だ(G5図表参照)。だが、政府の一人っ子政策でその「強み」に変化が生じていると話すのは、拓殖大大学院教授の森本敏だ。
 「家族に1人しかいない男子が兵士として死ぬことへの抵抗感は強く、政府も無視できなくなっている。今後はいかに兵員を殺さずに戦うかが重要なテーマになる」

兵士一人一人の“命の値段”を政府が無視できなくなることで軍事的オプションのコストが上がれば、一方で安易な軍事力行使に歯止めがかかる可能性がある一方、引用箇所にあるように「兵員を殺さずに戦う」ための選択をする可能性もあり、後者の場合アメリカやイスラエルの戦い方が示しているように、相手方の非戦闘員に発生する被害はかえって増えるおそれもあるのではないか、と。