続報

以前にジェームズ・キャメロンが原爆に関するノン・フィクションの映画化権を買ったというニュースをご紹介しましたが、今朝の朝日新聞(大阪本社)朝刊によれば、“テニアン島の基地で投下前の原爆が爆発事故を起こした”という旨の記述などが事実無根と抗議され、印刷や出荷を取りやめる事態になっているとのこと。

 【ニューヨーク時事】広島への原爆投下をめぐる米作家チャールズ・ペレグリーノ氏の新著に作り話が含まれていた問題で、出版元のヘンリー・ホルト社は1日、新たに信ぴょう性が疑わしい記述が見つかったとして、販売を中止し、返金に応じる方針を明らかにした。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)などが報じた。
 問題のノンフィクション作品「ザ・ラスト・トレイン・フロム・ヒロシマ(広島からの最終列車)」に対する追加調査で、同書に登場する聖職者2人が実在するか確認できず、ペレグリーノ氏本人にも学歴詐称の疑いが浮上。同氏は疑問に満足に答えられなかったという。
 1月に出版された同書はこれまでに1万8000部が印刷されたが、先月、原爆投下機「エノラ・ゲイ」に随伴した観測機に乗っていたとして同書の中で証言した人物が、乗組員でなかったことが判明。ペレグリーノ氏は該当個所を訂正する意向を示していた。

時事通信の記事が言及しているNYタイムズの記事はこれかと思われます。問題になった聖職者のうち一人については「偽名にしておいたのを明らかにしておくのを忘れていた」と釈明していますが、この釈明を踏まえた調査はまだ行われていないようです。学歴詐称疑惑についてはペレグリーノ氏が名前を挙げた大学の関係者が「当大学でPh.Dをとった事実はない」と否定しています。
なにぶん『キリストの棺』の著者でもあるということで危惧を抱いていたのですが、(事実に関するミスを含んでいたことが直ちに不誠実さの証になるわけではないとはいえ)杞憂ではなかったようです。