相変わらず問題点がわかってない

 最後にもう一言。こうした歴史を遡っての断罪が許されるなら、TV自体が将来「人権侵害装置」のごとく不当な断罪を受ける恐れは十二分にあるということだ。人を盛んに見せ物にする、それが「人間動物園」という後講釈が成り立つのであれば、NHKこそ「人間動物園」ではないのか。例えば毎週日曜日に全国各地で行われているのど自慢。司会者が「さあ、次は元気な若手消防団の皆さんです!」。
 「○番、仮面舞踏会!」と始まり、派手なコスチュームとアクションを伴い、途中まで張り切り過ぎた歌を聞かされ、あえなく鐘が「か〜ん」。再び3人が大袈裟にずっこけ、会場がドーっと沸きかえる。「元気な仲良し3人組でしたあ」と淡々とコメントして次へ、といった具合である。
 いい笑いものである。「アジアの一等国」としてこんな痛い映像を見せられる(それでいて結構見ていたりする)のだが、これは「人間動物園」ではないのか?
(5/5)

ほんと、バカじゃねーの? 4ページ目にある「日本がパイワン人を見せ物にしようとしたなら、なぜ日本の力士まで連れていったのだろうか?」という一節も、NHKの番組が(あるいは「人間動物園」という用語を用いる研究者が)なにを問題にしようとしているのかを、この著者がまるで理解していないことを示している。原告の主張もこのレベルなんだとすればNHKにとっては楽な勝負のはずだが、さて……。