「国民抗戦必携」

 沖縄戦さなかの1945年4月25日に大本営陸軍部が日本各地の国民義勇隊などに配布した「国民抗戦必携」を、24日までに林博史関東学院大教授(現代史)が米国立公文書館で確認した。火炎瓶などを使った「肉薄攻撃」の方法などを図入りで説明している。同資料は当時の新聞などで内容が一定程度判明していたが、現物は確認されていなかった。林教授は「大本営の方針で沖縄の人々が動員され、犠牲になったことを証明する資料」と説明している。6月発行予定の「季刊戦争責任研究」で発表する。
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 「刺突爆雷」などの安全栓を抜き戦車の側面を攻撃することや、刀槍で米兵の腹を突く肉薄攻撃、かまやなたで後方から奇襲することなどを説明。柔道や空手を用い「水落ヲ突ク」「睾丸(こうがん)ヲ蹴(け)ル」とも指南。火炎放射器の防護策として「濡レムシロ」などで炎を遮り、横へ回って攻撃するとしている。毒ガス対策には「瓦斯(がす)、火炎共ニ恐レルナ」としてマスクや布、ガーゼを湿らせ口や鼻を覆うことも解説している。
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旧軍が米軍の爆撃機搭乗員を処刑する際に空手や弓矢の実験台にしたという事例については以前に紹介したことがありますが、ろくに訓練もしていない国民義勇兵にも同じようなことをさせようとしていたわけです。
また、例えばムスリムによる自爆テロの報道に接してムスリムに関する本質主義的な理解をしてしまうことの誤りをも、このニュースは示していると言えるでしょう。「日本人は狂信的」と世界中から思われてもかまわない、というのであればはなしは別ですが。