聾者の被爆体験
昨年放送されたETV特集「障害者たちの戦争」では聴覚障害者や視覚障害者とそれ以外の者との間にある戦争体験の断絶が問題にされていましたが、今朝(10日)の朝日新聞(大阪本社)朝刊には「聞こえなかった被爆 ろう者体験 語り継ぐ動き」と題する記事が掲載されています。在日コリアンでもある(そのため、更なる差別を恐れた父親は被爆者手帳の申請をさせず、02年にようやく取得したとのことです)聴覚障害者の泉さんの体験が紹介されています。
原爆投下後、学校に通う列車から見える街並みは一変していた。当時は7歳。なぜこんなことになったのか理解できなかった。家族は手話ができず、原爆について詳しく知らされていなかった。
聴覚障害者の被爆体験はいまだに全容が解明されていない。全国手話通訳問題研究会長崎支部は、ろう者の被爆体験の聞き書きを進めている。泉さんも2月から語り始めたばかりだ。
当ブログは平和教育を含めて戦争体験の「継承」が戦後しばらく被害体験に偏しており加害の側面がきちんと語られてこなかった、という問題意識をもとに運営していますが、他方で被害体験にしても広く社会で共有されてこなかったものがまだまだある、ということを教えてくれる記事です。